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民医連新聞

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人間の尊厳を守るたたかいを前に ~2年間をふり返って~

総会運動方針案のポイント

全日本民医連事務局長 岸本 啓介

 昨年、全日本民医連は70周年を迎えました。今回の総会運動方針は第1章で、60周年以降の10年をふり返り、民医連が次の10年に引き継ぐべき教訓をまとめました。
 「失われた30年」と呼ばれるように、この10年も格差と貧困が拡大しました。その根本には戦争する国づくりに突きすすみ、5年間で43兆円をつぎ込む軍事大国化と、生活やいのちを守ることも自己責任とし、社会保障費を削減する新自由主義の政治があります。
 これに対し、民医連は綱領(2010年改定)の立場で平和・人権・民主主義をめざす市民運動と連帯し、運動をひろげてきました。コロナ禍では医療・介護体制や社会保障制度の脆弱(ぜいじゃく)さとともに、ケア労働の重要性が明らかになりました。そして一人ひとりを尊重して依存し合う「ケアの倫理」を社会のありかたの基本にすべきとの考えがひろがっています。
 45期、民医連が『旧優生保護法下における強制不妊手術問題に対する見解』をパンフレットにし、学習運動をすすめたことも重要です。「無差別・平等の医療・福祉」をすすめる上で、向き合うべき対象など、視野をひろげるきっかけとなりました。
 第2章は今日の情勢です。1節では、ロシアのウクライナ侵略やイスラエルのガザ攻撃をめぐり、即時撤退や停戦を求める国際的な動きの高まりや、核兵器廃絶、気候危機、ジェンダー平等の課題など、平和と人権保障をめぐる世界と日本の情勢をのべました。
 第3章は46期の方針です。44回総会運動方針で、2020年代の4つの課題を示し、今総会は中間点となります。私たちの到達点と45期の実践を踏まえて「ケアの視点で『非戦・人権・くらし』を高く掲げ、平和で公正な社会を実現しよう」と呼びかけました。医師と経営の2つの前進をはかる課題を含め、具体的な提起をしました。
 今、社保・平和運動、まちづくり、教育活動、医学生担当者の奮闘など、コロナ禍で難しかった活動が前進しています。能登半島地震では行政の初動が遅く、地方切りすてや高齢化などの困難が露呈しました。46期は2025年夏に参議院選挙、同年までに衆議院選挙があります。人間の尊厳が守られる社会に向け奮闘しましょう。

(民医連新聞 第1799号 2024年2月5日号)