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民医連新聞

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副作用モニター情報〈610〉 経口避妊剤マーベロンによる血栓塞栓症

 低用量ピル製剤マーベロン®は、避妊、適応外では月経周期の安定や月経痛の軽減などに使われています。
 ピルについては含有ホルモン量が少ないほど安全性は高いとされていますが、非服用者と比べ血栓症の発現頻度が約3倍になるという報告もあります。今回は、マーベロンが関与したと思われる血栓症を発症した症例を紹介します。

症例)30代女性。BMI30以上。1日15~20本の喫煙あり。
 既往歴は、幼少期に喘息(ぜんそく)。現在、パーソナリティー障害、パニック障害。併用薬はアリピプラゾール。
 13年前、月経困難症と月経前症候群に対しマーベロン開始。以降、11年間継続処方され、約2年前が最終処方。
発症90日前:下肢疼痛(とうつう)出現。
発症3日前:呼吸困難出現。
発症日:呼吸困難で救急搬送。酸素飽和度は88%。肺塞栓症の診断でヘパリン点滴静注にて治療開始。
 その後、内服治療に切り替え、アピキサバンは肝障害で中止になったものの、リバーロキサバンで治療継続。
発症9日目:呼吸困難改善にて退院。

* * *

 低用量ピルによる血栓症発症の危険因子として、35歳以上(30~34歳と比べ1.18倍以上、15~19歳と比較すると約4倍のリスク)、1日15本以上の喫煙、肥満(BMIが30以上では、BMIが20~24.9の場合と比較して約5倍)、高血圧、前兆を伴う片頭痛の既往、肝機能障害(過去歴も含む)、心疾患や腎疾患を有する人、があります。
 本症例の患者は、BMIが30を超えていること、喫煙者であることから、血栓症の副作用記載のあるアリピプラゾールも服用していますが、最終処方が2年ほど前にもかかわらず、飲み忘れて残っていたマーベロンを間欠的に続けていた可能性があるため、被疑薬としてマーベロンを否定できませんでした。
 服用状況も報告書に記載してもらえると助かります。
(全日本民医連医薬品評価作業委員会)

(民医連新聞 第1799号 2024年2月5日号)

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