ひろがる活動の場 民医連らしさの指標に 『民医連歯科衛生士の基本となるもの』
全日本民医連歯科衛生士委員会は昨年10月、『民医連歯科衛生士の基本となるもの(案)』(以下、『基本となるもの』)を提案し、医科・歯科・介護連携にかかわる全職種に感想や意見を募りました(1月12日締め切り)。福井・光陽生協歯科と連携の現場で聞きました。(丸山いぶき記者)
『基本となるもの』は(1)あゆみ、(2)めざすもの、(3)アセスメントシートの3部構成です。病院歯科や歯科診療所、病棟、介護事業所での事例をもとに活用例も紹介。構成は、『民医連のめざす看護とその基本となるもの』(2016年版)を参考にしています。
光陽生協歯科の衛生士、津森紗代さんは委員の一人。「多彩な現場で働く全国の歯科衛生士に学びながら、多職種協働のツールとなるアセスメントシートをつくりました」。昨年10月の県連理事会でも呼びかけ、さっそく薬剤師から「知らないことが多く面白かった」と感想がありました。同院の奥村宗市さん(歯科医師、県連会長)は「口腔(こうくう)ケアやオーラルフレイル予防で、歯科衛生士の役割は大きい。活躍の場がひろがる歯科衛生士の“民医連らしさ”の指標になる」と期待を寄せます。
同院の歯科衛生士で口腔ケアを担当する川端智美さんは、病棟や介護施設に赴き、患者・利用者の口腔ケアを指導しています。光陽生協クリニックデイケアさんさんの南部紗喜恵さん(看護師)は「連携で意識が変わり、新規利用者はまず、お口の状態は? 食べられる? と見るようになった」と。川端さんは「うれしい。他職種や患者・利用者の家族も、口腔ケアの大切さを知ってほしい。ケアグッズは背景や条件に合わせ使いやすいものを勧める。変化が見えるとやりがいもある」と話します。
小県連でも、歯科がなくても
入職6年目の南部さんからは「民医連の全職種に『基本となるもの』があると思っていた」との声も。看護部長の畑登美子さんは「そうなるといいね。今回の歯科衛生士版は、他職種へのエールでもあると思った。福井もいつか病棟に歯科衛生士を常駐させたい」と語ります。津森さんも「人手不足は課題だが、小県連ならではの顔の見える関係で連携をすすめたい」と応じます。
昨年10月の全日本民医連第16回学術・運動交流集会では、歯科のない青森・健生病院で活躍する歯科衛生士が注目されました。
4月13~14日には『基本となるもの』の完成をめざし、福岡で2017年以来の歯科衛生士全国交流集会を開催します(第ア―815号)。津森さんは、「民医連歯科衛生士の活躍の可能性をひろげる集会にしたい」と、参加を呼びかけました。
(民医連新聞 第1798号 2024年1月22日号)