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民医連新聞

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診察室から 困難事例で瞬時に考える職員の力

 私は現在、臨床研修病院である奈良・土庫病院の救急科で研修をしています(研修医2年目)。今回は、そこで起こった出来事を紹介します。
 某日の昼頃、当院併設の小児科診療所にて、患児の母親の咳嗽(がいそう)が増悪し倒れこんだ、というコールがありました。
 既往に未治療不整脈、未治療気管支ぜんそくがあり、Wheeze (喘鳴(ぜんめい))を聴取したためメプチンを吸入してもらい、症状改善のもと、レントゲンと心電図を提案しました。すると本人が「心電図は要らないです。レントゲンはいくらかかりますか」と。実はその家族の背景には経済的困窮、精神障害(本人・夫)がありました。そこで、本人・家族にどのような支援が必要だろうか、と考えました。「後日、当院内科を受診するように」と言うのは簡単ですが、この様子だと受診しないだろうことは容易に想像できます。
 無料低額診療事業(無低診)なども頭にあり、私は当院の相談室に向かいました。相談し始めてつかの間、相談室に電話がかかってきました。同じタイミングで小児科診療所の事務長も、できることがないか聞くため相談室に連絡したのです。さらに、救急外来に戻ると、1年目看護師から「どうやって次、このような発作を防ぐかですね」という発言も。2年目看護師も「無料低額診療のパンフレットを渡した方が良いですか?」と話しかけてくれました。結果は精神障害者保健福祉手帳の所持者であるなどの背景もあり、無低診は適用できず、現状は分割払いで対応することに限られました。
 ただ、1組の家族のために、小児科診療所、救急外来、相談室など、病院をあげて何かできることはないか、即座に考えることができたという、この瞬発力に感動しました。このような時に民医連で働いていてよかったと思います。社会的な困難事例に対して違和感を持つこと、何かできることがないか考えること、これらを今後も大切にしながら働いていきたいとあらためて思いました。(津島祐斗、奈良・土庫病院)

(民医連新聞 第1798号 2024年1月22日号)