憲法カフェ ぷち㊳ 大阪万博と時間外労働上限規制
大阪万博における各国のパビリオン建設が、遅れに遅れています。コロナ禍やウクライナ侵略の影響で、工事費が膨れ上がっているのが原因です。本来なら積極的に工事を受注したいはずの大手ゼネコンですら、今から間に合わせることは困難と、受注を尻込みする状態です。
そうしたなか、自民党の万博推進本部は、工期に間に合わせるために会場の工事現場で働く人について、2024年4月施行の時間外労働上限規制の適用から除外するという、超法規的措置を検討しているようです。そんなことをすれば、少なくとも400~500人の外国人建設労働者の犠牲を出したと言われるカタールワールドカップの二の舞になりかねません。
イベント開催のために労働者の人権をないがしろにするような発想は、恐ろしい。そもそも主権者が民主的な手続きを経て開催を求めたイベントですらなく、あまりにも乱暴です。このような議論は、改憲で緊急事態条項がつくられ、政治が政府に白紙委任されることになれば、どのような政治がなされるか、イメージできる好例でしょう。
人権を無視し、非民主的に開催を強行するような万博は、特定の政党や政治家のメンツを守るために開催するイベントでしかありません。(明日の自由を守る若手弁護士の会)
(民医連新聞 第1796号 2023年12月4日・18日合併号)