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民医連新聞

民医連新聞

ともにより良い歯科医療をめざして 「健歯新聞」創刊30年で日韓交流

 全日本民医連歯科部は、韓国・健康社会のための歯科医師会(以下、健歯)と交流を深めています。「健歯新聞」が30周年を迎えたのを記念して、ともに、より良い歯科医療の保障と、口腔(こうくう)保健の向上をめざして運動する、両者の交流を紹介します。(丸山いぶき記者、「健歯新聞」アン・ウンソン記者)

 健歯は毎年、広島・長崎の原水禁世界大会に代表を派遣し、自国の加害の歴史にも向き合おうと、かつて韓国軍がベトナム戦争の際に侵攻したベトナムの村での医療ボランティアにも参加してきました。全日本民医連副会長で歯科部部長の岩下明夫さん(歯科医師)は、「民医連と共通点が多く、この5年ほどですごく交流が深まっている。8月に行った全日本民医連70周年記念式典にもお祝いに駆けつけてくれて、歯科部と懇談もした」と紹介します。

■情報発信に力入れ

 1989年4月に創立された健歯は、歯科医師のみで構成され、会員数は約500人です。
 「健歯新聞」は健歯創立の年の5月に発行された季刊誌「健康社会」に始まり、93年5月25日に創刊号を発行。2001年に株式会社健歯新聞社となり、翌年、韓国の歯科専門誌で初めてオンライン新聞発行を決め、04年「オンライン健歯新聞」を創刊。07年に完全にオンラインへ転換するなど、いち早く変化を試みてきました。
 創刊以来、歯科系でもっとも迅速で正確なメディアとして、最多のアクセス数を記録。20年にはYouTubeチャンネル「健歯新聞TV」を開設し、日々先鋭になる保健医療と歯科系問題を多角的に取り扱っています。今年5月25日に創刊30周年を迎え、新たな30年を準備しています。

■記事から見える奮闘

 読者は健歯の会員のほか、会員外の歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士などの歯科系職種、保健医療系や一般の人まで、幅ひろいのが特徴。健歯傘下の口腔保健政策研究会に所属する歯科衛生士出身の研究員たちも購読しています。
 最近もっとも反響が大きかった記事は、▼健康保険の保障の縮小はユン・ソンニョル(大統領)政府が最初▼キューバのヘミングウェイ▼発展する健康な医療社会的協同組合をつくります▼尊厳をとり戻して自由を返してもらえば治る▼なかなか(民営)歯牙保険では得にならない、など。文化コンテンツも、健歯会員の活発な参加のもと、充実しています。

■より発展的な交流に期待

 健歯の共同代表2人から民医連へ、メッセージをもらいました。
 キム・イドンさん 日・韓両国の歯科分野の公的保険を理解するように、公的保険の歴史やシステム、保障の現状と問題点、今後の保障拡大のための活動方向について、意見交換を期待します。
 イ・クムホさん 両国のフッ素を利用する公衆口腔保健、ローカルクリニックでのフッ素の臨床的活用、現状と方向性に関して話し合いたいです。

* * *

 2019年には健歯が30周年を迎え、民医連が韓国を訪ねて、両国の歯科医療分野で交流を深める合同シンポジウムも行いました。
 「外国人への無料歯科治療や、不当に解雇されてたたかっている労働者が安心して眠れるようにとつくられた施設に、健歯が歯科治療設備を整えるなど、本当にすごい」と岩下さん。韓国も高齢化しており、民医連の訪問歯科診療には強い関心が寄せられています。民医連同様、健歯もWHO「口腔保健」決議を高く評価。年代ごとの成人歯科検診がある韓国に見習うべき点も。「コロナ禍対応を交流できたことも大きかった。健歯の政策提言力や『健歯新聞』の発信力に感心する。今後も情報共有していきたい」と話します。

(民医連新聞 第1796号 2023年12月4日・18日合併号)