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民医連新聞

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副作用モニター情報〈607〉 ゲーファピキサントによる味覚関連障害

 ゲーファピキサント(リフヌア錠45mg® 以下、本剤)は、2022年4月に発売した「難治性の慢性咳嗽(がいそう)」を適応症にもつ薬剤です。気道に存在し、咳嗽時に重要な役割をするP2X3受容体を遮断することで迷走神経の活性化を抑制し、結果として咳嗽を抑えると考えられています。
 発売から約1年が経過し、味覚関連の副作用が当モニターに報告されたので紹介します。

症例1)40代女性
開始日:ひどい咳(せき)が継続、いろいろな薬を使用するも改善しないため本剤開始。
開始約1週間以内:コーヒーがしょっぱい、お茶が金属の味がする、ごはんがまずい、などの味覚不全の症状発現。咳の改善を優先し本剤継続。
開始36日目、50日目:定期受診、味覚不全改善なし、咳嗽継続。

症例2)80代女性
開始日:喘息(ぜんそく)治療中、咳が止まらないため本剤開始。
開始14日後:開始翌日から煮物などの味を感じないため、4日服用し自己中止。中止翌日には味覚は戻った。

* * *

 非臨床試験において、P2X2/3イオンチャネルの欠損または機能的阻害と味覚の変化との関連を示す報告があり、同様の機序に起因して、本剤の味覚関連事象が発現することが示唆されます。
 製造販売承認時までに実施された国際共同第III相試験、海外第III相試験のデータにおいて、味覚関連の副作用(味覚不全、味覚消失、味覚減退、味覚障害)は63.1%(431/683例)に発現しています。多くは投与開始後9日以内に発現し、軽度または中等度で、投与中または投与中止により改善しています。
 なお、本剤の母集団薬物動態/薬力学解析(PPK/PD)の結果から、有効性を得るために必要な血中濃度-時間曲線下面積(AUC)と味覚障害の頻度が高くなるAUCが近似していることが読み取れます。そのため、常用量(1回45mg1日2回)では高頻度で味覚関連の副作用が発現すると考えられます。
 本剤による咳嗽の治療は、あくまで対症療法であることから、リスクとベネフィットを考慮し、漫然投与とならないよう注意しましょう。
(全日本民医連医薬品評価作業委員会)

(民医連新聞 第1795号 2023年11月20日)

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