憲法カフェ ぷち㊱ 「個人の尊重」と外国人
「個人の尊重」を基調とする憲法では、14条1項で、合理的理由なく外国人と日本人との間で異なる取り扱いをすることは、差別として禁止しています。しかし、新型コロナウイルス感染症の流行は、日本における外国人の医療アクセスの脆弱(ぜいじゃく)性をあらわにしました。
日本の医療サービスは、在留資格の有無により左右されるため、在留資格のない外国人が検査や治療を受けられない状況が発生しました。外国人コミュニティーで感染が拡大したことをきっかけに、さらなる差別を生み出すことにもなりました。
日本政府は、多くの外国人を受け入れる政策をとると宣言しながら、一方で、外国人の定住を望んではいません。そのため、経済や医療の危機が訪れると、途端に外国人などの権利保障の不十分な弱者にしわ寄せがきます。
それは、もともと日本が(ありもしない)国民ないし民族の同質性を重んじて、外国人=異質なもの、として排除してきたことに起因しているように思います。しかし苦しいときこそ、「差別は許されない」「すべての人が個人として尊重される」という憲法の理念に、何度でも立ち返る必要があります。(明日の自由を守る若手弁護士の会)
(民医連新聞 第1794号 2023年11月6日)