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民医連新聞

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第16回学運交 ポスターセッション 人権尊重の医療・介護をすすめるために 全国から570演題

 第16回学運交の演題発表は、すべてポスターセッションとして実施。「憲法9条・反核平和」「人権・社会保障」「職場づくり・職員の確保と育成・幹部養成」「医師・歯科医師の集団づくり」「安全・倫理・QI・医療と介護の質の向上」など18テーマで、570演題の発表がありました。一部を紹介します。

平和な瞬間を写真に

 福井・つるが在宅センター和の平岡恵里奈さん(看護師)は、「憲法9条・反核平和」の会場で、「平和を形に、身近に~幸せの瞬間写真コンテスト~」を報告。平和が当たり前の生活に慣れ、平和を身近に感じるために、幸せなことを写真として共有し、平和を考えることに。子ども、ペット、自然、趣味、食べ物など30人から応募があり、写真をきっかけに職員同士の会話もはずみ、5つの賞と年間カレンダーを作成。平和だからやりたい仕事、よりよい医療、看護、介護がめざせることを共有できました。

働き方改革を見据えて

 「医師・歯科医師の集団づくり」では、鹿児島と岡山から、医師の働き方改革を見据え就業規則改定などにとりくんだ報告がありました。岡山協立病院の中岡真輝さん(事務)は、医師確保のために医師の労働条件を抜本的に見直し。退職予定年表にもとづく必要医師数の算出、給与規定改定による若手・中堅医の給与増、勤怠システムや外来当直に代わる夜勤の導入などで、今年度新たに11人の医師を確保しました。「民医連に結集して経験を共有し、絶対的医師不足解消の運動にも力を入れたい」と話しました。

外国人患者の不安軽減

 埼玉協同病院の渡辺ちなつさん(看護師)は「無差別・平等の地域包括ケア」の会場で、「帝王切開術を受ける外国人患者の不安軽減へのとりくみ」を報告。
 近年、同院ではクルド人の帝王切開術が増加しています。クルド語やトルコ語以外で意思疎通が困難な事例が多く、施術前の説明が不十分で不安を抱える人が多くいました。そこで渡辺さんは、翻訳サイトを利用した5分程度のトルコ語の説明動画を作成。簡単な説明文を書いた「言語カード」も使い、どの職員でも対応できるように工夫して不安を解消しました。

壁新聞で中断患者減

 大阪・田島診療所の福川由香さん(看護師)は、「安全・倫理・QI・医療と介護の質の向上」の会場で、「患者目線の壁新聞~慢患グループのとりくみ~」を発表しました。同診療所は、かつて地場産業が栄え、「職人が多く、外飲食がさかんで、成人病罹患率が高い」と言われた地域にあります。病識がない人が多く、受診を中断したり、「薬だけほしい」という患者が少なくなかったため、2014年より糖尿病、高血圧、脂質異常症の壁新聞を作成。待ち時間に読んでもらえるように工夫し、さらに血液検査の結果を共有したり、働きかけを強めた結果、中断患者が減少しました。


医学界の戦争犯罪 731部隊の展示も

 会場には、「731部隊と15年戦争 あの戦争で日本はアジア・太平洋で何をしたのか」の展示コーナーも設置。細菌化学戦の研究開発のため、中国人捕虜を使った人体実験を行った731部隊と金沢をパネルで説明しました。部隊長で金沢にあった旧制四高出身の石井四郎は、官立金沢医科大学で学生に講演していました。敗戦時、証拠隠滅のため、いっせいに秘密裏に逃げ帰り、金沢陸軍病院(現金沢医療センター)で残務整理。医療センターには石井式ろ水器、レントゲン装置の箱、顕微鏡が保存されています。パネルは、戦後の反省なき日本政府と医学界による、医の倫理の教育の遅れを指摘していました。

(民医連新聞 第1794号 2023年11月6日)