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民医連新聞

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憲法カフェ ぷち㉟ 関東大震災と虐殺

 9月1日は、関東大震災から100年目にあたります。震災下のパニックのさなか、「在日朝鮮人が井戸に毒を入れた」とのデマが流れ、鵜呑みにした市民たちの自警団が、関東各地で在日朝鮮人や在日中国人を虐殺しました。さらに社会主義者や労働運動家も虐殺され、場所によっては憲兵隊や警察が虐殺にかかわっていたことも数々の史料から明らかになっています。
 小池百合子都知事は、それまで歴代都知事が続けてきた「虐殺被害者の追悼式典への追悼文送付」を拒否し、あたかも虐殺の事実がなかったかのような発言を続けています。ナチスのホロコーストやルワンダでのツチ族大虐殺などからもわかるように、日頃から差別意識が充満した社会では、デマや扇動などがきっかけで差別意識が「憎悪」へと一気に燃え上がり、マジョリティー集団が暴走して残虐行為に走る危険があります。100年前の虐殺は、そうしたヘイトクライムの典型でした。
 私たち市民に必要なのは、(1)個々人では「善良な市民」であっても、ぼんやりとした差別意識、パニック、デマ、などの諸条件がそろえばヘイトクライムに加担しかねない弱い存在なのだという意識、(2)差別やヘイトに加担せず、さらにヘイトを食い止めるための学びです。加害者にも被害者にもなりたくない、その思いを、個人の尊重(憲法13条)をはじめとした日常不断の学びの実践(憲法12条)へとつなぎましょう。
(明日の自由を守る若手弁護士の会)

(民医連新聞 第1793号 2023年10月16日)