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民医連新聞

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ともに生きる仲間として―非正規滞在の移民・難民たち 第14回 「バックドア」「サイドドア」からの外国人受け入れ ―入れ替え可能な労働力調達をもくろむ日本の政策 文:大川 昭博

 ここで、日本の外国人労働者の受け入れ政策についてふり返ってみましょう。1980年代は、在留資格のない出稼ぎ外国人労働者を、低賃金かつ劣悪な労働条件で働かせ、労働力不足を補うという「バックドア(裏口)」からの受け入れが公然と行われていました。1990年代に入り、日本人との血縁関係を持つ日系ブラジル人などを定住者として受け入れる一方で、非正規滞在者の安い労働力に依存することができなくなった日本の産業界は、「技能実習制度」や「留学生」の労働力に着目し、政府もそれをささえるという「サイドドア(勝手口)」からの受け入れが始まります。
 このような受け入れを続けた結果、国内外国人労働者の70%近くが国内での活動に制限がある在留資格で働いており、45%が資格外活動(留学生の就労)、技能実習、特定活動で占められる、という「いびつ」な状況が生まれました(厚労省統計より算出)。
 そして人権侵害も加速します。技能実習生たちは、出身国のブローカーに多額の借金を背負わされるとともに、転職の自由もないまま激しい労働搾取にさらされることになります。技能実習生の「逃亡」があい次ぎ、彼らの多くは非正規滞在者となりました。留学生も、本国での借金返済と生活のためのアルバイトを余儀なくされ、コロナ不況でアルバイトや就職先を失い、学費が払えず退学となって在留資格を失う留学生が続出しました。
 かつて日本政府は、非熟練労働者は受け入れないという「方針」を掲げてきました。人口減少、労働力不足による経済成長の後退を恐れる経済界の要請を受けて、2018年1月には「特定技能」が新設され、ここで初めて「フロントドア(正面玄関)」からの受け入れにかじが切られました。しかし、経済成長のみを追求し、入れ替え可能な労働力を調達しようとする「労働力のローテーション政策」であること、厳しい在留制限によって移民の定住化を可能な限り阻止する「底の浅い」政策であることは、何一つ変わっていません。


おおかわ あきひろ 移住者と連帯する全国ネットワーク理事。『外国人の医療・福祉・社会保障ハンドブック』(2019年、支援者との共著)

(民医連新聞 第1793号 2023年10月16日)