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民医連新聞

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ともに生きる仲間として―非正規滞在の移民・難民たち 第13回 生きる権利、 育つ権利を返してください! ― 子どもたちのアムネスティ(正規化)を急げ 文:大川 昭博

 2023年8月4日、斎藤健法務大臣(当時)は、在留資格のない日本生まれの子どもとその家族に対し、「一定の要件」を満たすことを条件に、一律に在留を許可するとしました。これまでの法務省の消極的な姿勢からすれば大きな前進であり、また「一律に」認めるという意味では、日本初の一斉アムネスティ(正規化)とも言えます。しかし、権利と尊厳を奪われ続けてきた当事者の立場からすれば、あまりにも遅すぎた対応と言わざるを得ません。
 在留資格がなければ健康保険に入れないのは、子どもも同じです。風邪をひいても、けがをしても、病院にかかるのは容易ではありません。修学旅行、部活動の遠征などで県外に出るときは、事前に入管の許可がいります。高校、大学には行けてもアルバイトはできません。そして何よりも卒業後の就職ができません。生きる権利も、青春をエンジョイする権利も、そして将来の夢を抱くことすらも許されない状態のなかで、子ども時代を過ごさなければならないのです。長年、非正規滞在の子どもたちの権利と尊厳を奪ってきた、それが日本の入管行政の実態です。
 一方、「帰れない事情」を抱えているにもかかわらず、今回の特例措置に該当しない外国人家族も数多くいます。「不法」入国・上陸や犯罪歴など、親の事情によって、正規化から排除されてしまう子どもについては、今回措置の対象とはなりません。すでに18歳以上の人、幼少期に来日した子ども・若者とその家族も対象外です。
 法務省は、第2次および第3次出入国管理基本計画(2000年3月、2005年3月)において「我が国社会とつながり」のある非正規滞在者に対して、人道的な観点を十分に考慮し、適切に対応していくとのべています。小泉龍司法務大臣には、日本社会を「ふるさと」として暮らすすべての非正規滞在者の子どもとその家族に対し、一日も早く在留特別許可を適用するよう強く求めます。


おおかわ あきひろ 移住者と連帯する全国ネットワーク理事。『外国人の医療・福祉・社会保障ハンドブック』(2019年、支援者との共著)

(民医連新聞 第1792号 2023年10月2日)