診察室から 「まず診る」から子どもと家族をささえる
不登校の子どもたちの増加が止まりません。2021年度の全国の不登校児童数は約24・5万人で過去最多となりました(文部科学省)。小児科外来でも、不登校相談の受診が後を絶たない状態です。不登校の理由のすべてが疾病にある訳ではないものの、頭痛や腹痛などの身体症状の訴えが多いことや、他に相談できる場所もないなどの事情があるため、結果的に医療機関を受診するケースが多いように思います。
特に「断らない医療」を続けていると、自然と我われのところに集まってくるようです。そのなかには、神経発達症や起立性調節障害などの診断がつくこともありますが、何か薬を処方するだけで解決するケースはほとんどありません。学校の勉強についてゆけなくて課題がつらくなってしまったり、クラスが騒がしくて落ち着かなかったり、いじめられていたり、と理由はさまざまなのですが、大抵の場合は診察室や病院のなかだけでは解決できない問題を抱えています。
最初の頃はどうしたものかと考えあぐねていたのですが、そのうちにこういう時の常とう手段は「味方を増やすこと」だと心得るようになりました。すなわち、学校、心理士、ソーシャルワーカー、地域の保健センター、市の子育て支援課など、少しでも関係がありそうと思われる機関へは片っ端から情報提供し、かかわってもらうようにしてゆくのです。そうすると徐々に子どもと家族をささえる支援の輪ができてきました。
こうした支援チームのつくり方は、私たち民医連が普段から行っていることで、特別なスキルがなくてもできることだと思います。今や児童のおよそ1000人に25・7人が不登校ですので、プライマリケア(総合診療)医にも対応が求められる時代ではないでしょうか。難しいと考えず、「まず診る(受け止める)」そして「かかわり続ける」という、要は「民医連的にやればよい」という考えで、日々診療に当たっています。
(齋藤耕一郎、群馬・前橋協立病院)
(民医連新聞 第1792号 2023年10月2日)
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