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民医連新聞

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ささえあいのネットワークをひろげよう 福井県医療生協 福井市・病院ブロック

 福井県医療生協の福井市・病院ブロックは昨年9月、光陽生協病院から徒歩数分の場所に民家を借りて新組合員ルーム「だん・だん」を開設。趣味の班会など、多彩な活動を行っています。生活困窮者の食料支援も行い、ささえ合いのネットワークをひろげようととりくんでいます。(多田重正記者)

好きなことで楽しくつながる

 木曜日は編み物班会の日。午前10時、参加者たちが「だん・だん」に。この日は5人が「ここはどうすれば?」と教え合ったり、断捨離の話で盛り上がったり。
 「今日はこれでも静かな方ですよ」と話すのは、編み物班会のリーダー、清水雅美さん。同生協理事の清水さんは平日、「だん・だん」に常駐。「誰もが気楽に立ち寄れるように」と心を砕いています。「だん・だん」では他にも絵手紙、ギター、着物リメイクなど、日替わりで趣味の班会を開催。リーダーは、組合員や元職員などから得意な人を見つけてお願いしています。
 着物リメイクのリーダーとは、同医療生協の有償ボランティア「たすけっと」で出会いました。「夫が亡くなり、布団店をたたむので片付けてほしい」と連絡を受けて訪問すると、妻が着物のリメイクもやっているとのこと。布団以外に、リメイク品や布も処分してほしいとの話でしたが、「もったいない! ぜひ教えてください!」とお願いしました。取材した日も、「だん・だん」では着物リメイク班の作品展を開催中で、通院帰りに立ち寄る人も。
 趣味の班会を毎日開く理由を聞くと「楽しく人のつながりをひろげたいから」と清水さん。「地域のつながりがなくなっている時代。ここに来れば好きなことでつながり、話が弾み、助け合う関係もでき、健康づくりにもつながる」。
 趣味の班会でも足の悪い参加者に他の参加者が声をかけ、迎えに行く関係ができています。「だん・だん」は他にも終活相談会、カフェ、リサイクル品バザー、子ども食堂の会場など、多彩に活用されています。
 「『だん・だん』のような場所を増やしたい」と清水さん。同生協では「誰もが歩いて行ける距離にたまり場を」と話し合っています。

生活困窮者支援で新たなボランティアも

 食料支援は、年4回実施。今年10月で第13回を数えます。
 同ブロックは2020年、「たすけっと」を始めましたが、コロナ禍に。依頼に応えて自宅を訪問する活動が困難になりました。
 そんなとき、全国で共同組織の仲間もコロナ禍でひろがる生活困窮者支援に立ち上がっていると聞き、「これだと思った」と同生協常務理事の西村高治さん。「まずはやってみよう」と同年10月、第1回の食料支援を実施。すると仕事を失った人、シングルマザー、年金生活者などが続々。若者から高齢者まで幅ひろい世代が訪れました。「自分たちがつながっていない人たちのあいだに生活困窮がひろがっていると実感した」と西村さん。第11回(今年3月)は初の100人超え。足が悪いなどの理由で会場に来られない人にも配達し、市営住宅への出張支援も。物資は組合員、職員のほか、農家、パン屋、NPO、フードドライブ事業にとりくむ福井市、福井県民生活協同組合などに依頼し、提供を受けてきました。
 食料支援にとりくむなかで、「こんな活動がやりたかった」とボランティアや組合員になる人も。物資の受け取りを希望したことからボランティアになり、ずっと食料支援にかかわっているシングルマザーもいます。

◇     ◇

 全日本民医連は10~11月を共同組織拡大強化月間とし、共同組織とともに外に出て、まちづくり、健康づくり、ささえ合いの活動をひろげようと提起しています。
 「職員みんなが1回は、共同組織の地域活動に参加してほしい。自分たちの事業所への期待を肌で感じる機会になる」と同生協組織部の澤崎真紀美さん(保健師)。清水さんは「『だん・だん』で行っている展示会や催しを、事業所でも患者・利用者に案内してもらえたら、そこからつながりがひろがる。『たすけっと』のボランティアも充実させたい」と話してくれました。

(民医連新聞 第1792号 2023年10月2日)