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民医連新聞

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憲法カフェ ぷち㉜ アベノミクスが残したもの

 故安倍元首相と黒田日銀総裁(当時)がすすめたアベノミクスは、市場に出回っている「円」の量を大幅に増やしたり積極的に国が借金してお金を使ったりすることで、人為的に(年2%程度の)適度なインフレ(物価高)や円安を起こして、経済を刺激しようとするものでした。首相も政府も「インフレになれば、労働者の賃金も上昇する」と喧伝(けんでん)しました。
 アベノミクスで日本企業の株価は何倍にもなり、富裕層は円ベースで大きく資産を増やしました。しかしインフレは目標どおりにはすすまず、労働者の賃金はその間、ほとんど上がりませんでした。
 そこへいま、皮肉にもウクライナ戦争による資源高や過度な円安が襲いかかり、予期せぬインフレが、日銀が目標とした2%を飛び越えて一気に進行しています。あまりに早いインフレ進行に、賃金の上昇は全くついていけていません。結局、アベノミクスが残したのは、格差や貧困、国の借金だけでした。
 いまの日本に必要なのは、9条と25条を基本に、資産家ではなく労働者の待遇改善と人権を保障し、当たり前に働けば当たり前に暮らせる社会をつくること。今年6月に成立した5年間で約43兆円の軍拡予算を削減し、社会保障や経済対策に力を入れるべきです。(明日の自由を守る若手弁護士の会)

(民医連新聞 第1790号 2023年9月4日)