世界に核廃絶を訴え 平和への思い交わす 原水爆禁止2023年世界大会
8月7~8日、原水爆禁止2023年世界大会が長崎で開催されました。4年ぶりの集合開催でしたが、台風の影響で2日間の短縮日程に。現地、オンライン合わせて約4000人が参加し、核廃絶と平和の実現に向けた議論と思いを交流しました。(稲原真一記者)
■市民の声で核廃絶を
オープニングは、うたごえのみなさんの合唱から始まり、全労連議長の小畑雅子さんが「核廃絶こそ世界の流れ。被爆地から市民社会の真の声を世界に発信しよう」と開会を宣言しました。
今年は16カ国・地域から43人の海外代表が参加。海外代表や全国の参加者が紹介されると大きな拍手が起こり、久々の集合開催に参加者からの熱が伝わってきます。長崎市長の鈴木史朗さんや、被爆者を代表して日本被団協の田中重光さんがあいさつ。田中さんは自身の被爆体験を語り、「滅亡から人類を救う唯一の道は、核兵器廃絶。実現に向けてともに行動しよう」と呼びかけました。
政府代表や海外代表は、国際的な情勢や、各国での平和活動などを報告。2日間を通してオーストリア、メキシコ、アメリカ、イギリス、フィンランド、ウクライナ、韓国、マレーシア、ドイツ、フランス、ロシアなどから発言があり、国連軍縮担当上級代表の中満泉さんなどからもビデオメッセージが届きました。核保有国や核の傘の下にある国、NATO加盟国や戦争当事国などの立場を超えて、核廃絶、平和を願う思いは共通していることを確認し合いました。
■被爆者・若い世代とともに
8日は予定していた分科会をすべて午前に開催し、午後は閉会総会が行われました。閉会総会では「被ばく者の声を世界に」として、日本被団協の田中煕巳(てるみ)さん、韓国原爆被害者協会のイ・ギュヨルさん、シム・ジンテさんが、自身の経験や日本やアメリカの戦争責任を問う発言を行いました。
日本国内からは、沖縄の基地問題や福島の汚染水の海洋放出についても言及。また大学生や高校生、新日本婦人の会の母親たち、民医連からも地元長崎の若手職員など、若い世代から反核平和運動への活発な発言がありました。
最後に「被ばく者、若い世代とともに未来を切りひらき、長崎を最後の被爆地に」と呼びかける「長崎からのよびかけ」文書を満場の拍手で採択。会場全体で“We shall overcome”を歌い、フィナーレを迎えました。
■学びと交流を力に
民医連からは約500人の仲間が現地参加しましたが、例年行っていた参加者の交流集会は中止に。現地で参加を予定していたみなさんに話を聞きました。
熊本民医連の横田愛さん(介護福祉士)は親子で参加。「子どもに平和について学んでほしかった」と、2日目は親子で絵本などを通して平和を考える分科会を選びました。戦争や核使用の危険が高まっている情勢に「何か起これば子どもたちの問題になる。徴兵制のあるような時代に戻ることは絶対に防がなくては」と語ります。
長野県民医連の河野絵理子さん(医師)は、「初めての現地参加で世界に核廃絶を願う多くの仲間がいることに感動した」と言います。長野は地元で活動する被爆2世の前座明司さんなどを招いて事前学習を行い、「被爆者から運動を引き継ぐ思いを強くした」と河野さん。同県から参加した若手職員とも思いを共有し、今後の活動につなげることを決意します。
(民医連新聞 第1790号 2023年9月4日)