出会って学んで未来をつなぐ
全日本民医連は6月24~25日、「医学生のつどい」の新入生歓迎企画「MIN―IREN FESTIVAL(以下、みんフェス)」を約4年ぶりに対面で開催。全国から新入生や奨学生など約50人と職員、合わせて約150人が神奈川県横浜市に集まって学び、交流しました。(稲原真一記者)
今年44回目を迎える「医学生のつどい」は、民医連の医学部奨学生やつながりのある医学生が集まり、民医連の医療活動や社会問題などを学び、交流する企画です。コロナ禍ではオンライン開催が中心でしたが、今年3月に久々の現地開催を実施。みんフェスも対面にこだわって開催しました。
全日本民医連医学生委員長の後藤慶太郎さんが開会あいさつ。「学生時代の過ごし方は、本当に大切。社会を知り仲間と語り合い、どんな医師になりたいのか、とことん考えてほしい」と呼びかけました。
SDHの視点を学ぶ
最初の企画は「横浜スタンプラリー」で、班ごとに会場近くの赤レンガ倉庫などの観光名所を回り、待ち構える職員のクイズに答えます。クイズは助言者の職員とも相談しながら答え、参加者同士で交流を深めました。
続いて民医連の先輩である山本結さん(3年目研修医)が、「健康と社会のつながりを考える」と題して学習講演。山本さんが研修をする神奈川県川崎市では、市内の地域間で平均寿命に大きな差があることや、実際に出会った症例を紹介。「病気は患者の自己責任ではなく、所得や教育の格差などSDH(健康の社会的決定要因)が背景にある」と強調します。また学生自治会で医学部の女性への入試差別に声をあげた経験や、民医連や大学で出会った仲間の大切さに触れ「学生時代からマクロの視点を学び、人との出会いを大事にしてほしい」と語りました。
講演後は班別討論を行い、交流会へと向かいました。交流会では医学生の自主的な学びの場である医学生ゼミナールや、反核医師の会学生部会などが活動報告やアピールを行い、企画への参加を呼びかけました。
思いが生まれる場所
2日目のメイン企画は、職員が現場の実践を通じて民医連を伝える「民医連あつめ」。職員は地域ごとにフロアに散らばり、訪れた学生に地元の実践を紹介します。テーマは困難事例の紹介、無料低額診療事業、なんでも相談会、食糧支援や子ども食堂、LGBTQと医療、平和や憲法を守る活動、災害支援などさまざま。真剣に聞き入る学生の姿に、語りかける職員も熱が入り、あちこちで熱心な質疑応答が行われました。
その後、事務局からの活動報告と企画の案内があり、続いて2日間の感想とめざす医師像をテーマに班討論を行いました。参加者の峰田まいさん(弘前大学1年生)は「SDHを知ることで、患者の印象が大きく変わることに驚いた。自分もSDHに気づける医師になりたい」と話し、飯塚みくさん(埼玉医科大学1年生)は「自分が社会に関心を持っていること、医療にかかれない人のために働くことも一つの道だと気づけた」と感想を教えてくれました。
事務局の森爽さん(長崎大学4年生)は、3月に初めて経験した対面企画で「真剣に議論することがこんなにも楽しいのかと知った」とふり返ります。「出会って話すことで、自分でも気づけなかった思いが生まれる。今年の医学生のつどいは、本当に大変な社会状況で行われるからこそ、みんなで社会や平和のことを考え、共同のいとなみや、民医連の原点を学べる場にしたい」と意気込みます。
(民医連新聞 第1789号 2023年8月21日)