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民医連新聞

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副作用モニター情報 600回記念 汎用薬剤の副作用切れ目なく情報を発信

 「副作用モニター情報」600回を記念し、全日本民医連薬剤委員会、医薬品評価作業委員会の中西剛明さん(石川・金沢医療事業協同組合、薬剤師)の寄稿です。

 本紙掲載「副作用モニター情報」が600回に到達しました。ほぼ毎号掲載されているため、年間で20回程度というペースです。現場からの副作用モニター活動は1977年からほぼ途切れることなく続けられているので、46年間も続けていることになります。ひとえに、現場からの報告が継続的に送られてくるからこそ、ここまで達成できました。みなさんの常日頃からの奮闘に感謝します。
 開始当初は、紙媒体での報告をもとにデータを積み上げてきましたが、月日を重ね、薬剤師自らがかかわって独自のデータベースシステムを築き上げ、今ではインターネットで報告できるまでに進化しました。現在、プログラムを取り込まなくても報告できるようWEB化をすすめていますし、厚労省の旧型式に沿って開発した現状の報告様式を踏襲し、新形式に簡便に編集できる機能も盛り込もうと開発をすすめています。

■県連、 事業所の役割

 全日本民医連に報告する前の段階として、個々の症例について各事業所や県連で検討を加えるのが副作用モニターの特徴です。根気よく報告を続けてもらっているだけでなく、未報告の加盟事業所への講習や働きかけなどもあり、報告件数は年々増えてきました。2003~17年までは年間平均で約2000件の報告がありましたが、ここ数年は年間平均で約1600件と減少傾向です。2020年はコロナ禍の影響で年間約1200件まで減ったものの、それでも厚労省に報告された件数の約11%に相当します(図1)
 報告県連数は年度によって幅はありますが、全体の55~65%に相当する22~30県連となっており、報告に結びつかない県連があることがわかります。ここ10年の間に、あらためてモニター報告にとりくんだ県連のなかで、三重のように現在も報告が続いている県連もありますし、1回きりの報告で止まってしまった県連もあります。報告に至るまでが業務として定着するまでには、乗り越えなければならないことがまだまだ残されているようです。
 報告件数と報告県連数の推移をグラフにして見ると、2016年度から相関が強くなっている傾向がうかがえます(図2)。1県連当たりの報告件数がほぼ一定になってきているということでしょう。すなわち、報告県連数が増えれば報告件数も増えるということです。幅ひろく副作用を収集することも、副作用モニター活動の目的の一つです。恒常的な報告にまで届かない県連が、モニター活動を再開もしくは継続するために、抱えている問題点はさまざまだとは思いますが、それに見合った支援が望まれます。

■薬の選択にも一役

 どの薬剤を記事に取り上げるのかも工夫のしどころです。3カ月に一度の医薬品評価作業委員会で、報告された約400件すべてに目を通し、そのなかから取り上げる薬剤をいくつか決めています。私は16年間も委員をしていますが、ここ数年の傾向として、報告される薬剤の種類が減ってきており、記事として取り上げる薬剤の選択肢が、狭まってきている印象を持っています。
 証拠はありませんが、これは現場で使用される薬剤が、効果の面だけでなく副作用の面でも考慮されて、選び抜かれて使われるようになってきた結果と考えています。従来から使用されている薬剤については起こりうる副作用が熟知され、新薬は未知の副作用を常に警戒するという姿勢が確かなものになってきたのであれば、とても喜ばしいことです。
 裏を返せば、毎回、同じ薬剤の報告がくり返されているということでもあります。その代表例が、バラシクロビルです。ひとつの薬剤で、記事として4回も取り上げているのは異例です。汎用される薬剤の特徴的な副作用を浮かび上がらせる力がある、ということでしょう。また、これだけ同じ副作用がくり返されることから、使用を控えるなどの処方行動に変化が出てくることも期待できます。
 4~5年後には副作用モニター活動50年、700回の節目を迎えますが、切れ目なく情報を発信していきますので、今後ともよろしくお願いします。

(民医連新聞 第1788号 2023年8月7日)