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民医連新聞

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憲法カフェ ぷち 優生思想に「NO」を

 「不良な子孫」(!)の出生を防止すること、および母性の生命健康を保護することを目的とした旧優生保護法。この法律のもとで不妊手術を強制されたとして被害者が国を訴えた裁判で、国に賠償を命じる判決が各地方裁判所や高等裁判所であいついでいます。
 判決は、旧優生保護法の規定が、被害者の幸福追求権・自己決定権を侵害するとともに、特定の障害などを有する者について不合理な差別的取り扱いを定めるものであるとして、憲法13条(個人の尊重、幸福追求権)、憲法14条1項(法の下の平等)に違反するとしました。この結論は至極当然です。他方SNSなどでは、「不良な遺伝子は増やすべきではない」「意思疎通のはかれない障害者はいなくなればよい」といった、障害者の人権を認めない発言も少なくありません。
 旧優生保護法は、日本国憲法施行後に制定されたものでありながら、全会一致で成立し、その後も国民から支持されていた現実があります。私たちは、コロナ禍、経済的低迷、物価高など、経済的・社会的に心身が追い詰められたり、自尊感情を損なう苦しみが続いたりすると、想像力・共感力を失い、本来政治に向かうべき怒りや不満が、より弱い立場にある人への差別・敵意になりがちです。いのちに軽重はなく、ましてや不要ないのちなどないという日本国憲法の理念に何度でも立ち返り、優生思想や障害者差別に「NO」を突きつけましょう。(明日の自由を守る若手弁護士の会)

(民医連新聞 第1787号 2023年7月17日)