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民医連新聞

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副作用モニター情報〈599〉 ヤーズフレックス配合錠®によるしびれ

 ドロスピレノン・エチニルエストラジオールベータデクス(ヤーズフレックス配合錠®、以下、本剤)は、合成黄体ホルモンのドロスピレノンと合成卵胞ホルモンのエチニルエストラジオールとの配合剤です。海外でも問題視されていた血栓症による死亡が3例報告され、2014年に、使用上の注意の改訂、警告欄の新設とともに安全性速報(ブルーレター)が発出されました。今回は、血栓症の初期症状と考えられる症例を紹介します。

症例)20代女性 体重・喫煙歴・家族歴不明
開始日:月経困難症に対し本剤開始
開始約1カ月後:手足のしびれあり、その後、服用継続したがしびれが続くため自己判断で中止
中止2日後:しびれ改善、本剤中止し当帰芍薬散へ変更

* * *

 本剤を含め、経口女性ホルモン配合剤(低用量経口避妊薬(OC)や低用量エストロゲン・プロゲステロン配合剤)は、頻度は低いものの静脈血栓塞栓症(VTE)を発症します。本症例のしびれはVTEの初期症状であった可能性があります。
 ある海外の疫学調査では、年間1万人あたり、VTE発症リスクは、OC非使用者1~5人に対し、OC使用者3~9人、妊娠中5~20人、分娩後12週間40~65人でした。つまり、OCによるVTE発症リスクは、妊娠中や分娩後12週間ほど高くはないものの、OC使用者ではOC非使用者の約2倍に上昇します。発症時期は服用開始後3カ月以内がもっとも高く、年間1万人あたり14.3人、2年目7.3人、3年目6.3人、4~5年目4.5人でした。また、肥満、高年齢、喫煙、家族歴などのリスク因子がなくても、服用による発症リスクは高まります。
 多くは早期発見、早期治療で治癒するとされていますが、放置すると重篤化するケースもあるため、初期症状についての説明を徹底し、血栓症が疑われる症状を認める場合は早期に投与を中止するなどの適切な処置が必要でしょう。
(全日本民医連医薬品評価作業委員会)

(民医連新聞 第1787号 2023年7月17日)

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