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民医連新聞

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ともに生きる仲間として―非正規滞在の移民・難民たち 第8回 徒歩で相談に来る仮放免者たち 文:原 文次郎

 6月に国会で可決した改定入管法では、在留資格を失った外国人を対象に、強制退去処分を前提に一律に入管収容施設に収容する全件収容主義を見直したとして、一定の要件のもとに社会生活を認める監理人制度が導入されました(第3回参照)。しかし、収容を免れても生活の保障はありません。改定前の入管法のもとでも収容を免れた仮放免者は就労を許されず、「生きていけない」状態に置かれていることは本連載でもすでに触れられているところです。
 私たちの団体は、日本人でも、どこの国の出身者でも、国籍に関係なく生活困窮者の相談を受けていますが、中でも在留資格を失い仮放免状態に置かれた人の置かれている状況が厳しくなっています。
 仮放免の外国人は、届け出た居住地の都道府県の境を越えて移動をするには入管への届け出が必要です。なので、都心の事務所まで相談に足を運ぶことが簡単にはできません。加えて、就労が許可されていないことにより経済的な窮乏が厳しく、交通費をかけて出かけることが困難です。このため、相談者の自宅に駆けつけて相談を受けることが多くありますが、住まいも自身で借りられず、知人や友人に世話になっているなどの事情で訪問を好まず、最寄り駅での相談になることも多々あります。
 ごく最近、相談対応をしたAさんは、待ち合わせの最寄り駅までバスに乗れば10分以内の道のりを、徒歩で40分をかけて来ていました。それだけ生活費に困っているのです。家賃と水光熱費の分担に加えて、食費も必要です。体調を崩した場合には医療費も必要ですが、在留資格がなければ健康保険に加入できず、高額な医療費の負担が問題になります(詳細は次回)。Bさんはその医療費が払えず、しかし歯周病の痛みに耐えかねて相談に来ました。そのため、医療費の減免が受けられる、無料低額診療事業制度が使える医療機関の歯科医院を紹介して、その自己負担分の診療費用を民間支援団体の私たちが肩代わりする支援をしています。Bさんとは、午後の診療を前に駅で待ち合わせをしたのですが、そこまでバスと鉄道3駅分の交通費が払えず、午前中いっぱいをかけて徒歩でやって来たと聞きました。このようなケースは少なくありません。


 はら ぶんじろう 一般社団法人 反貧困ネットワーク 外国人支援担当理事

(民医連新聞 第1787号 2023年7月17日)