欧州をはじめとした世界各国では、ＬＧＢＴＱ（レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、クエスチョニング）などの性的マイノリティーが、偏見や差別を受けないこと、そして、当たり前の権利が実現されることをめざした法整備がすすんでいます。
　一方、日本では現在も、ＬＧＢＴＱに対する差別を禁止する法律はありません。自分で選ぶことのできない性的指向や性自認などのために、いじめや差別を受けたり、セクハラを受けたりして、日々さまざまな困難に直面している人が多くいます。憲法の根源的な理念「個人の尊重」（１３条）には、私たち一人ひとりがそれぞれ多様であり、尊重されるべき存在であることが示されていますが、ＬＧＢＴＱの人びとにはそれが実現されていないのです。
　５月に行われたＧ７広島サミットという外圧により、「ＬＧＢＴＱ理解増進法」の与党修正案が提出されましたが、過去、超党派によって提案されていた「ＬＧＢＴ差別禁止法」からかなり後退したものになりました。人は生まれながらにして差別されず（憲法１４条）、個人として尊重される（同１３条）という当たり前の権利を、明確に宣言する「差別禁止法」ができるよう、私たちも意識や理解を深め、声をあげていきたいと思います。（明日の自由を守る若手弁護士の会）

（民医連新聞　第1785号　2023年6月19日）