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民医連新聞

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副作用モニター情報〈597〉 リベルサス錠による副作用まとめ

 リベルサス錠は唯一の経口投与可能なGLP-1製剤として、2020年6月に製造販売承認を取得した糖尿病治療薬です。通常、GLP-1製剤は胃酸で分解され、腸管からは吸収されないのですが、リベルサス錠は添加物付加と空腹時服用によりこの問題を解決しています。注射に忌避的、あるいは注射手技が難しい患者への新しい選択肢として期待されています。
 一方で、新薬モニターに寄せられた調査報告書では消化管から吸収されるとはいえ、吸収率が非常に低く(1%程度)、効果の確実性や安全性に懸念があると指摘されています。また、特殊な用法(起床時服用)によるアドヒアランスの低下、添加物による長期的影響も考慮する必要があります。
 今回はリベルサス錠により悪心(おしん)症状を来した症例と、これまでに当副作用モニター情報へ寄せられた副作用報告のまとめを紹介します。

症例)60代後半女性。イニシンク配合錠、フォシーガ錠、グリメピリド錠で血糖コントロールを行っていたが、HbA1c:10.1%と高値のためイニシンク配合錠中止、リベルサス錠3mg1T起床時が開始となった。開始21日後の患者問診より「気持ち悪い」「胃がむかつく」などの症状で継続不可能であったと聞き取り。自己中止後、すみやかに症状回復している。

* * *

 リベルサス錠は、第III相臨床試験において悪心10.8%、嘔吐(おうと)4.2%、腹部不快感2.4%と、消化管に関連する副作用が多く報告されています。
 これまで当副作用モニター情報へは21件の副作用症例が寄せられていますが、その内訳は悪心10件、嘔吐6件、腹痛・下痢・食欲低下・食欲増加・腸炎・めまい・動悸(どうき)、各1件とやはり消化器症状に関連するものが多く報告されています。
 また、副作用出現時期は開始初期または増量のタイミングがほとんどです。
 これらの副作用はGLP-1製剤に共通した特徴ですが、リベルサス錠は先にのべたように、他の注射製剤に比べ血中濃度が安定せず、消化器症状が発生しやすくなっている可能性があります。
 経口薬としての扱いやすさはありますが、有効性・安全性の面から第一選択は注射製剤とし、それらが使用できない患者への選択肢の一つとして位置づけることが推奨されます。
(全日本民医連医薬品評価作業委員会)

(民医連新聞 第1785号 2023年6月19日)

副作用モニター情報履歴一覧