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民医連新聞

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副作用モニター情報〈596〉 トラマドール塩酸塩/アセトアミノフェン配合錠の退薬症状にご用心

 トラマドール塩酸塩/アセトアミノフェン配合錠(以下、T/A配合錠)は1錠中にトラマドール塩酸塩37.5mgとアセトアミノフェン325mgを配合した鎮痛剤です。トラマドールは非麻薬性オピオイドでμオピオイド受容体に対する作用とモノアミン再取り込み阻害作用により鎮痛効果を示します。アセトアミノフェンは、主に中枢神経系で鎮痛作用を示すと考えられています。T/A配合錠は、2011年に非がん性慢性疼痛(とうつう)と抜歯後の疼痛に対して承認され、2018年には後発も発売され使用量も増えてきています。
 T/A配合錠の国内臨床試験における副作用は悪心41.4%、嘔吐(おうと)26.2%、傾眠25.9%、便秘21.2%、めまい18.9%ですが、吐き気止めや便秘薬が併用されているケースはまだまだ少ないです。当モニターにも2022年12月時点で、悪心嘔吐121件、便秘12件、他消化器症状15件、眠気、めまい、ふらつき40件、肝障害7件など、合計276件の副作用報告が集積されています。トラマドールはモルヒネ、フェンタニルに比較し依存性が少ないとされていますが、依存性の副作用も2件報告されています。

症例)40代男性
 肩関節炎にT/A配合錠1日6錠(トラマドール225mg、アセトアミノフェン1950mg)を約3年間服用。飲まない時期に激しい立ちくらみなどの症状あり。内服再開後、症状はなくなったが、本人より中止希望あり。5カ月かけてアセトアミノフェンに置き換えて中止。

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 整形外科領域での使用が伸びています。高用量の長期使用には注意が必要です。また、中止時も退薬症候に注意しながら漸減することが重要です。
 T/A配合錠の1日最大量は8錠(トラマドール300mg、アセトアミノフェン2600mg)であり、単剤での最大量トラマドール400mg、アセトアミノフェン4000mgより低くなっています。これは、慢性疼痛患者では投与が長期にわたることが想定されるための設定です。トラマドール、アセトアミノフェンを上乗せで使用するケースもあり、過量投与に対して警告が記載されています。
 配合剤であるために手軽で使いやすい反面、調整が難しいというデメリットもあります。
(全日本民医連医薬品評価作業委員会)

(民医連新聞 第1784号 2023年6月5日)

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