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民医連新聞

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ともに生きる仲間として―非正規滞在の移民・難民たち 第4回 入管法改定案は移民・難民の「いのち・健康」を救わない 文:大澤 優真

 2023年5月9日、入管法改定案が衆議院で可決され参議院へ送られました。いのちからがら逃げてきた難民申請者を無理やり帰国させることが可能になるこの法案は、すでに多くの人によって批判されています。今回は、この法案によって移民・難民の「いのち・健康」は救えるのか、考えていきます。
 答えはNOです。コロナ禍以降、日本人・外国人問わず、多くの人が困窮化しました。とりわけ「仮放免者」をはじめとした在留資格のない外国人は、文字通り「生きていけない」ほど生活に困窮することになりました。「仮放免者」の多くは難民であったり、その他の事情から帰国したくても帰国できない状況です。その一方で、働くことも認められず、社会保障も認められていません。私は、末期がんの状態のまま路上生活を余儀なくされ亡くなっていった女性、生活苦を理由に自殺未遂をはかった男性と出会ってきました(次回、詳述)。北関東医療相談会の調査では「仮放免者」の89%が「生活が苦しい」、40%が家賃の滞納をしている、84%が「お金がなく病院に行けない」と訴えていました。
 こうした実態を踏まえて、2022年11月3日、国連の自由権規約委員会から日本政府に対して勧告が出されました。そこでは「『karihomensya』が働くことも収入を得ることも選択肢として与えられず、危険な状況に置かれていることに、依然として懸念を抱いている」とした上で、「必要な支援を提供し、収入を生み出す活動に従事する機会を設けること」が示されました。国連から勧告されている以上、難民や「仮放免者」のいのち・健康を守るための策を講じなければなりません。しかし、入管法改定案には国や自治体が難民や「仮放免者」の生活を保障する、とはどこにも規定されていません。難民や「仮放免者」は、これからも「生きていけない」状況に置かれ続けるのです。救えるはずの死にゆく人を目の前にして、私はそれを正しいとは言えません。「いのち・健康」という視点からはじまる議論を求めます。


おおさわ ゆうま 北関東医療相談会・理事。『生活保護と外国人「準用措置」「本国主義」の歴史とその限界』(2023年)。

(民医連新聞 第1783号 2023年5月22日)