いわき市民訴訟で不当判決 福島原発国賠訴訟は再び最高裁闘争へ
東京電力福島第一原発事故をめぐり、福島県いわき市の住民らが国と東京電力に損害賠償を求めた裁判(いわき市民訴訟)の控訴審で、仙台高裁は3月10日、国の責任を認めない不当判決を出しました。
昨年6月17日、福島・生業(なりわい)訴訟ほか4件の同種事件で最高裁は、国の責任を否定。今回の裁判は、最高裁判決後、初の判決としても注目されました。
仙台高裁は、最高裁が判断を避けた点にも踏み込み、政府機関の地震調査委員会が公表していた「長期評価」にもとづき、国が規制権限を行使していれば、「重大事故が起きなかった可能性は相当程度高かった」とし、権限不行使は「重大な義務違反」だと厳しく指摘しました。
しかし、「防護措置をとっても原発の重大事故を防ぐことができたとは断言できない」と、最高裁と同じ理屈で国の責任を否定しました。
判決結果を受け、原告らは3月22日に上告しました。
政府が無反省にも原発回帰に走る今こそ、二度と原発過酷事故をくり返さないために、6・17最高裁判決を覆し、国の責任を認めさせる、一大市民運動が求められています。
(民医連新聞 第1781号 2023年4月17日)
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