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民医連新聞

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診察室から 得るもの多い「男性の育休」

 昨年、育休を取りました。300床に満たない規模の病院で、男性医師が、4カ月弱にわたって、です。「男性の育休」が何かと議論されている昨今ですが、時代の波に乗ったような、ほんの少し先取りしたような。
 一人の医師がしばらくいなくなるというのは、やはりいろいろと大変なことでした。その間の外来、入院、会議、研修医教育を、いったい誰がするんだ? となります。しかし強く感じたのは、「誰か」がいないと立ち行かない組織というのは(最近のはやりで)「持続可能」ではないということ。そして実際、自分がいなくとも何とかなるもので、そこには寂しさよりも頼もしさを感じるべきなのでしょう。もちろん影響が小さくなるように入念な準備はしたつもりですが。ただ、「ちょっとだけ働きながら休む」という選択肢があると、もっと男性の育休取得は増えるんじゃないかなと思います。今後の政策を望みます。
 そして休みをもらった医師は、父親として初めての育児と悪戦苦闘しました。いやはや本当につらいですね。特に生後2~3カ月は慢性的に寝不足で、メリハリのある当直の方がまだ楽だと思うくらいでした。終わりの見えないたたかいをくりひろげている世のお母さんたちを尊敬します。今は核家族が多く、地域のつながりも薄いなか、何かもっとサポート体制があるといいなぁと切に感じます。
 仕事の面でも、私生活の面でも、非常に得るものの多い育休でした。ことの顛末(てんまつ)は新潟大学医学部医学科総合診療学講座の第37回onlineセミナーで詳しく話していますので、興味のある人はYouTubeでアーカイブをご覧ください、と宣伝、宣伝。
 最近の勤務医界隈(かいわい)では「働き方改革」がホットな話題かと思います。医師の過労が叫ばれて久しく、ようやくはっきりとした対策が全国的に動き出そうとしています。新たな問題も噴出していますが、みんなが自分の大事なものを大事にしながら、人びとの健康を守っていけるといいですよね。(酒泉裕(さかいずみゆたか)、新潟・下越病院)

(民医連新聞 第1781号 2023年4月17日)

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