憲法カフェ ぷち㉓ 危険すぎ! 敵基地攻撃能力②
政府が決めた「敵基地攻撃能力の保有」。先制攻撃につながりかねないだけでなく、憲法によって権力がしばられる立憲主義との関係でも大問題です。
憲法9条のもと、政府は「専守防衛」、すなわち侵略があれば武力で抵抗するが、他国に脅威を与えたりはしないという防衛戦略をとってきました。具体的には「自衛権行使は、侵略を排除するための必要最小限にとどめる」「戦略爆撃機、攻撃型空母のような他国に壊滅的打撃を与える兵器は持たない」などの指針として運用されてきました。国際社会に向けて「日本は、どの国にとっても脅威ではない」というメッセージを発信してきたのです。
しかし敵基地攻撃能力の保有を決めた今、政府はトマホークや国産巡航ミサイルなど、中国大陸に届く攻撃的兵器を爆買いしようとしており、専守防衛は捨て去られつつあります。集団的自衛権の行使を容認した安保法制と同様、敵基地攻撃能力の保有は9条と真っ向から矛盾する政策で、憲法という名の檻(おり)に入っていなければならない権力自身の手で憲法が蹴破られるという、立憲主義の国ではあり得ないことが強行されています。
「抑止力」という名の軍拡路線は、かならず核兵器保有に行き着きます。市民の理性と良識で、この流れを止めましょう。(明日の自由を守る若手弁護士の会)
(民医連新聞 第1780号 2023年4月3日)