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民医連新聞

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診察室から 冬の新潟、こんなところ

 この原稿が掲載される時には、つらい時期を乗り越えていると思います。つらい時期というのは、そう、冬です。現在、新潟市秋葉区の歯科診療所に勤務しています。日本海側の冬は住んだ人にしかわからないつらさがあります。青空なんぞ、てんで現れません。日中でも限りなく低い、そして厚いグレーの雲に覆われ、さしずめ北欧の白夜のような暗さ。そんな日が12月から2月までおおむね毎日続くわけですから、陰鬱(いんうつ)になってしまいます。以前、隣の群馬県に数年住んでいたのですが、真冬でも青々とした明るい空にがくぜんとした記憶があります。今でも上越新幹線で東京へ向かうたび、同じ日本なのに、と切なくなってしまいます。この時期、暗いところに慣れているせいか、明る過ぎて目が開けられません。
 また、新潟の冬といえば雪です。雪に悩まされる生活も続きます。豪雪地ならば、除雪のクオリティーは高く、生活上支障は少ないでしょう。ただ、県内でも比較的に雪があまり降らない新潟市のような中途半端な地域においては、降ったら大変です。まずは勤務前の早朝、深夜に除雪車が置いていったガレージ前の雪を退け退け、やっとの思いで幹線道路に入ったとて大渋滞。そこらじゅうで車がスタック(雪にタイヤが埋まって動けなくなること)して、渋滞に追い打ちをかける始末。いのちからがら着いた職場の駐車場の雪かき、そして空調の効きづらい職場内の寒さに、コロナ禍故の換気が付加されて、室内でさえもダウンを着て診療をするほど。患者から「ここは寒いねぇ」との声多数。「歯医者に行ったら風邪ひいた」と言われかねない本末転倒な状態。午後になるとやっと暖かくなり、気づいたらその日の診療が終わるという日々です。
 誇張した部分もありますが、日本海側、殊に新潟市の事情を説明しました。ただ、普段はおいしい食べ物と、人情あふれる温かい県民性に救われ、魅力度のトータルではちゃんとプラスに転じますので…、大丈夫です。(駒形雄気、新潟・かえつ歯科、歯科医師)

(民医連新聞 第1780号 2023年4月3日)