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民医連新聞

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副作用モニター情報〈591〉 モンテルカストによるうつ

 モンテルカスト(商品名:キプレス錠、シングレア錠)は、ロイコトリエン受容体拮抗(きっこう)薬に分類される気管支喘息(ぜんそく)・アレルギー性鼻炎治療薬です。錠剤、OD錠、チュアブル錠、細粒と剤型が豊富で、幅ひろい年代に対して処方されており、比較的安全性が高いと考えられている薬剤のひとつです。
 今回は、うつ症状の副作用が報告されましたので、紹介します。

症例)10代女性。気管支喘息。
服用開始日:オノンドライシロップからキプレス錠に変更。
開始19日後:うつ症状あり。キャーキャーと錯乱状態もあった。
開始26日後:他院受診し、おそらくこの時点でキプレス錠中止。
中止11日後:オノンドライシロップで薬物治療再開。
中止56日後:すっかりもとの状態に戻り、普通に通学できているとのこと。

* * *

 モンテルカストについては、2009年に米国食品医薬品局(以下FDA)が精神神経系の症状が出ると注意喚起し、日本でも2010年に、添付文書の「重要な基本的注意」の項に「本剤との因果関係は明らかではないが、うつ病、自殺念慮、自殺及び攻撃的行動を含む精神症状が報告されているので、患者の状態を十分に観察すること」と追記されました。
 さらに、2020年3月4日、再びFDAは、自殺念慮や自殺行動を含む神経精神医学的事象のリスクに関する懸念が高まっているとして、医学的に深刻な、時には生命にかかわる副作用を引き起こすリスクを伴うことを示すもっとも強い警告にあたる“囲み警告″「Boxed Warning」を出しました。以降、FDAは、代替薬に耐えられない、または反応しないアレルギー性鼻炎および気管支喘息の治療にのみ使用することとしています。
 同種薬の入手困難などで、やむを得ず本剤へ処方変更となるケースもあるかもしれませんが、モンテルカストの精神神経系の副作用には十分注意し、適切な処方と服薬指導をお願いします。
(全日本民医連医薬品評価作業委員会)

(民医連新聞 第1779号 2023年3月20日)

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