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民医連新聞

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最終回 にじのかけはし 第23回 連載の終わりと私のめざす未来 文:吉田絵理子

 本連載も、いよいよ最終回となりました。私は連載を重ねるにつれ、日本を多様性が真に尊重され、個性が生かされ、人権が守られる国にしていきたいと強く感じるようになりました。そのためには、さまざまな多様性について学び、対話を重ねることで、一人ひとりが自分も他者も尊重でき、困ったことがあれば声をあげてもいいのだと思えるようになることが、重要だと感じています。
 早くに母を亡くし、父の統合失調症の症状に悩まされる幼少期を過ごした私は、「ふつうの家庭をもつこと」を強く願っていました。その分、自分が同性愛者であると受け入れざるを得なくなった時、「ふつう」を手にできないのだと絶望しました。あれから、自分を真にこのままでいいのだと受け入れられるまでには、長い年月が必要でした。
 けれど、その悩みが、今こうして生かされています。それは耳を傾け、聴いてくれるみなさんがいたからです。一見“弱み”に見えがちな私のセクシュアリティーは、理解され尊重されたことで、何かを伝えることのできる“強み”になったのだと感じています。そうした対話と尊重がひろがる社会は、誰にとっても生きやすい社会ではないでしょうか。LGBTへの関心の輪がどんどんひろがるのを実感し、みなさんといっしょにそのような社会づくりをしていけるという、希望を感じた1年でした。
 そして、ある面でマイノリティーでも、別の面では特権をもつマジョリティーであることに、自覚的でなければいけないとも思っています。気づかないうちに差別的な言動をしてしまった時、声をかけてくれる家族、友人、職場の仲間の存在に感謝しています。
 みなさんから多くの反響をもらい、連載をまとめた冊子が職員に配られることになりました! さらに民医連オリジナルのアライバッジ、フラッグも作成中です。職場や日常生活で少しでも役立てば、うれしいです。セクシュアリティーへの学びを深めると、「LGBTの人たちについて学ぶ」のではなく、自分自身を深く理解することにつながります。この連載は、その“かけはし”になれたでしょうか? 1年間、にじのかけはしを読んでくださり、ありがとうございました。


よしだえりこ:神奈川・川崎協同病院の医師。1979年生まれ。LGBTの当事者として、医療・福祉の現場で啓発活動をしている。

(民医連新聞 第1779号 2023年3月20日)