憲法カフェ ぷち㉑ 今を「新しい戦前」にしないために
昨年末、タレントのタモリ氏が2023年を「新しい戦前」と表現し、話題となりました。1945年8月22日生まれと限りなく戦前に近い戦後生まれで、歴史的造詣が深いことで知られる同氏の一言には、多くの人がハッとさせられました。「新しい資本主義」などよりもはるかに重みのある一言です。
ここ10年ほどをふり返ると、(1)大規模な震災、(2)政府の権限強化をねらう法制度の整備・提案(当時の治安維持法や現在の緊急事態条項など)、(3)ヨーロッパでの大規模な戦争、(4)首相(元首相)の暗殺、(5)世界規模の資源の奪い合いと物価高騰、(6)世界各国の軍拡、などが起きています。かならずしもすべてが直接関連しているわけではありませんが、どこか教科書で見た「戦前」と似通っているように感じます。
今を「戦前」にしないためにできることは何でしょうか。権力の暴走が外からの抑止力では抑え難いことを前号でお話しました。私たちがすべきなのは、日本を内から変えることです。一人ひとりが主権者だと自覚すること。平和と人権が表裏一体であり、戦争に近づく政治は、同時に自分の人権と人生を脅かす政治だと理解すること。そして政治に対して自ら声を上げることです。(明日の自由を守る若手弁護士の会)
(民医連新聞 第1778号 2023年3月6日)