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民医連新聞

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憲法カフェ ぷち⑳ 日米開戦と抑止力論

 太平洋戦争は、中国や東南アジアに勢力をひろげようとする日本と、これを警戒し封じ込めようとするアメリカとの間で勃発しました。当時のアメリカの実質GDP(国内総生産)は日本の5倍以上と言われ、日本に対しては十分すぎるほどの抑止力を持っていたと言えます。
 実際、当時の日本の首脳部では日米大戦になった場合に、最終的にアメリカを屈服させることができると考える者はほとんどおらず、早期講和ができない限り最終的に敗北すると考える者が多かったようです。それにもかかわらず、日本が自ら戦争の火ぶたを切ったのはご存じのとおりで、世界最強のアメリカの抑止力をもってしても、はるか格下の日本の開戦を防げなかったわけです。「抑止力論」が、結局は相手の出方次第という不安定・不確実なものだという証明でもあります。
 いま、アジアでは中国が勢力をひろげようとしており、逆に日本はこれを警戒する立場になりました。そして日本は、格上の中国を、ミサイルや戦闘機などの「抑止力」増強で抑えようとしています。しかし、強者(アメリカ)が弱者(日本)の暴走を抑止力で抑えることすらできなかったのです。まして、弱者(日本)が強者(中国)の暴走を抑止力で抑えることなどできるのか、きわめて疑問です。(明日の自由を守る若手弁護士の会)

(民医連新聞 第1777号 2023年2月20日)