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民医連新聞

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副作用モニター情報〈589〉 カルボシステインによる薬疹~夕食後の服用が原因?~

 カルボシステインは、幅ひろく使用されている去痰剤です。副作用の少ない薬剤として認識されているかもしれませんが、当モニターには2022年10月までに、薬疹などの皮膚障害や肝障害を中心に247件が寄せられています。PMDA(医薬品医療機器総合機構)の副作用が疑われる症例報告にも、スティーブンスジョンソン症候群や薬疹などの皮膚障害、肝障害が数多く報告されています。
 薬疹の発生機序については、カルボシステインの代謝が夜間と日中で異なることが報告されており、原因の一つとして考えられるようになってきています。ヒトの硫黄酸化酵素の活性が、昼間は高く夜間は低いため、夜間は主に2,2′-チオジグリコール酸(以下、TDGA)に代謝されてしまいます1)。カルボシステイン服用後薬疹が起きた症例で、TDGAのパッチテストを実施し、陽性となったケースが学会などで報告されていますので、有力な原因と考えてよいでしょう2)。
 このTDGAが蓄積されることで症状が発生する場合は、高用量の場合では服用開始から2~3日後に副作用として確認されることになります。当モニターに報告された症例を紹介します。

症例)40代女性。蓄膿(ちくのう)症のため、カルボシステイン錠1500mg/分3毎食後、ロキシスロマイシン400mg/分2朝夕食後を開始。2日目の夜間に背中がかゆみだし、翌朝、腹部、下肢にも湿疹がひろがっていたため、両剤の服用を中止。4日目にカルボシステインを再開、同時にクラリスロマイシン200mg/分1を開始、数日後に再発。医師判断で、これら3剤を単独服用でチャレンジテストをしたところ、カルボシステインで同様の症状を再確認した。

* * *

 今回の症例は、夕食後だけカルボシステインの服用を回避すれば、継続治療可能だったかもしれません。
(全日本民医連医薬品評価作業委員会)

〈参考資料〉
1)GB Steventon:Diurnal variation in the metabolism of S-carboxymethyl-L-cysteine in humans Drug Metab Dispos. 1999 Sep;27(9):1092-7.PMID:10460812
2)DI Online 松本康弘の「極める! 小児の服薬指導」

(民医連新聞 第1777号 2023年2月20日)

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