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民医連新聞

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副作用モニター情報〈587〉 リスペリドンによる悪性症候群

 悪性症候群とは、精神神経用薬(主に抗精神病薬)により引き起こされる副作用で、高熱や意識障害などの症状がみられます。精神神経用薬服用患者の0.07~2.2%に発症するといわれ、薬剤を投与後1週間以内に発症することが多く、減量や中止直後に発症することもあります。ドパミン神経系に加わる急激な変化が関係していると考えられていますが、まだ詳しい発症のしくみはわかっていません。
 感染症や炎症性疾患でない発熱、疾患から説明がつきにくい神経症状、かつ血清クレアチンキナーゼ(CK)高値や白血球増多が認められる場合には、悪性症候群を疑い、早期の治療導入が必要になります。まず原因となる医薬品を同定し、退薬症候群も考慮し漸減ないし中止します。
 当モニターにも悪性症候群の副作用は50件報告されており、いわゆる定型抗精神病薬は12件ですが、非定型抗精神病薬、抗パーキンソン剤、抗うつ薬、抗認知症薬でも起きています。今回、高齢者のせん妄によく使用されているリスペリドンで悪性症候群の副作用が報告されたので、紹介します。

症例)80代男性
 〈併用薬:チラーヂン、トラゾドン〉
 せん妄のため、リスペリドン内用液0.1%0.5mL(0.5mg)を連日服用後、19日目頻脈出現、20日目CK上昇3,516IU/L(男性基準値59~248)、白血球12,430/μL(基準値3,300~8,600)、意識障害、肝機能悪化、急性腎障害あり。悪性症候群を疑い、リスペリドン中止。中止翌日、頻脈、意識レベル改善傾向(CK3,728IU/L、白血球13,010/μL)。中止10日
後回復(CK93IU/L、白血球4,680/
μL)。

* * *

 リスペリドンの当モニターへの副作用報告は228件で、悪性症候群は2件(1件はハロペリドール併用)です。しかし、CK上昇、意識障害、錐(すい)体(たい)外路症状など悪性症候群を示唆する副作用報告も多く上がっています。脱水、低栄養、脳器質性疾患がリスク因子となるとの報告もあり、注意が必要です。また、開始薬に目が行きがちですが、中止薬にも着目し、疑う目を持ちましょう。
(全日本民医連医薬品評価作業委員会)

(民医連新聞 第1775号 2023年1月23日)

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