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民医連新聞

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栃木・生協ふたば診療所 くらしを守るまちの保健室 「つながるカフェ★カムカム」オープン 誰かの居場所が自分の居場所

 栃木・生協ふたば診療所と社会福祉法人ふれあいコープ・コープデイサービスセンター江曽島は、2022年10月25日、くらしを守るまちの保健室「つながるカフェ★カムカム」をオープンしました。そのとりくみを昨年12月6日、取材しました。(長野典右記者)

体操にリクエスト

 取材日は宇都宮に初冠雪の日。カフェは14時に開場し、地域から8人、スタッフあわせて14人が参加しました。受付を済ませたら、まずは血圧計で健康チェック。お茶やコーヒーも振る舞われ、会話がはずみます。生協ふたば診療所看護師長の諏訪陽子さん、入職3年目の中川まり子さん(看護師)、緑が丘・陽光地域包括支援センターの沼子典正さんもスタッフとして参加。みんなが和んできたら、コープ安心ケアシステムみどりの酒井康孝さん(介護士)を講師に、手や指を使った体操がはじまりました。「自身も楽しみながら参加しています」と酒井さん。体操は参加者からのリクエストもあり、全員で盛り上がりました。

食材は地域から寄付

 諏訪さんは、くらしの保健室に関する本を読み、県連の学術運動交流集会で、貧困を背負って生きる子どもたちに寄り添う動画「仁の物語」を見て、この地域で何かできないかと所内や組合員と話していました。「どこにもつながりがない人、地域で困っている人が気軽に来て相談できる場所になれば」と諏訪さん。入職2年目の能勢山未来さん(事務)は診療所の受付で、患者の本音を思わず聞くことも。「生活が困難なこと、毎日会話もない生活を送っている人たちに、まちの保健室の役割は大きい」と語ります。
 ふれあいコープからまちの保健室づくりの提案もあり、話はすすんでいきました。名称の「つながるカフェ★カムカム」は職員から公募してつけた名称。「カムカム」は、毎週火曜日はなんでも相談・サロン、第4金曜日はみんなの食堂・こどもの学習支援にとりくんでいます。みんなの食堂では大人は200円の参加費がかかりますが、それ以外は無料。栃木保健医療生協とふれあいコープで運営費を出しています。食堂の食材に使ってほしいと、地域住民から、お米や野菜の寄付も集まりました。
 昨年10月25日の開所式には、自治会の人たちなど35人が参加。同月28日のこども食堂にはこども7人、大人5人と、ボランティア9人など、総勢31人が参加し、初回から共感がひろがっています。

実家に帰ってきたみたい

 会場は、現在施設に入所している患者から自宅を無料で借用。貸し主の家族、熊倉淳子さんは「自分の実家なので悩みましたが、家族で決めました。父親は児童相談所に勤めていたので、こども食堂など地域の人の役に立てば」と。
 参加者の一人、長谷川スイさんは熊倉さんの家には思い出があります。子どもの親たちとのつながり、「三千里会(みどりかい)」という女子会の会場になっていました。読書会やランチ、旅行など半世紀以上の思い出はつきません。「実家に帰ってきたみたい」と笑顔で語ります。

外出のきっかけに

 中川さんは「民医連や医療生協は、地域で本当に困っている人に寄り添う活動をしていることがすばらしい。誰かの居場所になることが自分の居場所にもなっている」と思いを語ります。諏訪さんは「地域とのつながりが、必要と感じた患者にも、『カムカム』を紹介し、外出のきっかけをつくり、そこが安心できる居場所となるよう、今後も活動していきたい」と抱負をのべました。

(民医連新聞 第1775号 2023年1月23日)