相談窓口の存在を地域にひろげよう 千葉 船橋二和病院健康友の会
船橋二和病院健康友の会(千葉県船橋市)は「いのちの相談所」のポスターをつくって友の会役員宅や施設などに張り出し、「なんでも相談できる窓口の存在を地域にひろげよう」ととりくんでいます。(多田重正記者)
きっかけは、コロナ禍で医療・介護が受けられない人たちが続出した事態を受けた全日本民医連の提起(2020年)。船橋二和病院が中心となって、ポスターを張り出しましたが、度重なる新型コロナウイルス感染拡大の波もあり、受診相談の電話が殺到。そこで友の会は「自分たちで力になれることはないか」と話し合い、「相談の中継点の役割なら私たちにもできる」と奮起。2021年の年明けから自前の「いのちの相談所」ポスターをつくって張り出し、窓口となる活動を始めました。
開始後、相談内容を記録する必要性も課題に。「受けた相談が、その後、解決したのかどうかわからず、友の会として責任を持とうという話になった」と、友の会事務局長の岡本功さん。「相談記録カード」を作成して、相談内容や相談を受けた人、家族状況なども記録できるようにしました。
相談内容は「何科を受診したらいいのか」「介護サービスを受けるには、どこに連絡したらいいのか」などの問い合わせから、「持ち家をどうしたらいいか」などさまざま。必要に応じて民医連のソーシャルワーカーや地域包括支援センター、在宅介護支援センターなど、医療・介護の専門家に対応を依頼しています。
「最近も『ポスターを見た。リハビリを受けたいが、どうしたらいいのか』という電話があった」と岡本さん。今年度だけで、約20件の相談が寄せられています。
見守りネットワークが力に
相談活動を強めるなかで、友の会副会長の庄子せつ子さんは「寝たきりで目が見えない夫をリウマチと脊柱管狭窄症を抱えた妻が介護している」事例を包括支援センターに相談。介護サービスの導入を試みましたが、夫が拒否。同居していた長男も引きこもっていました。
その後、蜂窩織炎で妻が入院したことをきっかけに、退院後、夫妻は同じ船橋市内で転居し、東京に住んでいた次男が同居することに。長男も精神障害者の支援員につなぎました。
さらに夫妻の転居先が友の会員の近所という偶然も。「その友の会員に見守りをお願いしたら、快く引き受けて訪問してくれたんです」と庄子さん。その友の会員は地域の見守りの会のメンバー。夫はまもなく亡くなりましたが、残された2人の見守りはいまも続き、最近も「元気そうだったよ」と庄子さんに様子を教えてくれています。
ポスターは、友の会活動などのつながりを生かし、社会福祉協議会や自治会連合会、民生・児童委員協議会、スーパー、団地自治会や町会などにも協力を得て掲示。「私が住む集合住宅でも、月1回『いつでも元気』の読者会で集会所を借りている縁で、自治会長にお願いしたら、自治会役員の話し合いを経て、掲示してよいことになったんですよ」と話すのは、友の会会長代行の佐藤アツ子さんです。「ここなら住人の誰もがかならず見るという、いちばん目立つところに張らせてもらっています」とにっこり。
若い人も参加できる友の会に
同友の会は、9~12月までを共同組織拡大強化期間とし、「入ってよかった」「楽しい」友の会を掲げて、散策、『いつでも元気』読者会、社会保障や平和の学習会などを積極的に企画して会員の拡大をはかり、「安心して住み続けられるまちづくり」のネットワーク拡大につなげようととりくんでいます。
80歳以上の会員を対象に高齢者訪問も実施。アンケートを行い、すでに790人以上から回答が寄せられています。友の会活動の後継者確保につなげようと、新興住宅地など、これまで友の会とつながりの薄かった地域にも友の会ニュース「ふれあい」や「いのちの相談所」ポスターなどを配布して、新しい層を獲得する試みも始めています。
岡本さんは「若い人も参加できる友の会をつくるために、継続的にかかわり、知恵と力を出していきたい」と話してくれました。
(民医連新聞 第1773号 2022年12月5日・19日合併号)