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民医連新聞

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相談室日誌 連載530 本人の笑顔につなぐ連携 国保料未納、年金担保の男性(沖縄)

 ことの始まりは、新聞配達員から地域の民生委員に対する「新聞がたまっている、心配」との相談でした。警察から連絡があり、「自宅に入ったが本人は不在だった」と地域包括支援センターへ連絡がありました。
 Aさんは70代男性。地域包括支援センター職員も数日訪問しましたが、家には人の居る様子がありません。その間、サポートセンターからも、「生活に困っている高齢者がコンビニにいる」などの連絡があり、どうにか本人と会うことができました。Aさんの衣服は汚れ、手足にイボのようなできものがあり、歩行はふらつき、立って話す体力もない状態でした。自宅に行くと、ごみ屋敷状態で水道も止まっており、ポケットには1円玉のみ。病院受診が必要な状態でしたが保険証もなく、保険料も未納であることがわかり、病院で無料低額診療事業の利用を相談しました。
 食料もなかったため、社会福祉協議会(社協)がフードドライブ支援を行いました。Aさんと「年金まではあと数日、もう少しの辛抱ですね」と話していると、「年金を担保にしている」と。聞くと、年金の入る通帳は正体不明の青年に渡していることがわかりました。慌てて銀行へ相談し、通帳の再発行を行いました。年金支給日、その青年とAさんが話しているところを偶然に見かけ、声をかけると、高圧的な態度で「また後で来る」と言い去っていきました。Aさんといっしょに警察署へ相談に行くと、違法性が高く、重大な犯罪に巻き込まれる可能性があるとのことでした。Aさんの安全を守るため、宿泊施設を利用し、翌日、生活保護利用の申請、通帳や印鑑は社協の緊急一時預かり制度を利用し、保管することにしました。
 Aさんは、生活保護が決定し、安心して医療も受けられるように。食事もとれ、少しずつ体力は戻り、自己主張もできるようになりました。そんななか、脳梗塞がみつかり入院。幸い後遺症もほとんどなく、現在はシェアハウスへの入所が決まり、継続して支援をしています。
 地域、医療、行政などの連携で、本人の笑顔をつなぐことができました。

(民医連新聞 第1772号 2022年11月21日)