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民医連新聞

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にじのかけはし 第15回 ジェンダーギャップ 文:吉田絵理子

 多様なSOGI(性的指向や性自認)の人びとが過ごしやすい組織づくりをめざしていると、無意識に根付くジェンダーへの固定概念と施策とがぶつかり、思わぬ抵抗にあうことがあるかもしれません。
 内閣府は「2020年までに、指導的地位に女性が占める割合が、少なくとも30%程度」という目標を掲げていましたが、日本医師会による2019年の調査では、医学部の教授の95.7%、日本医学会分科会の会長(理事長)の98.9%が男性でした。医師の業界は“驚くべき男性優位社会”と言っても過言ではないでしょう。そのような現状で、日本麻酔科学会では理事に女性枠を設けるポジティブ・アクションを導入し、理事の30%以上が女性であることは、1つの希望だと感じます。
 私は、日本プライマリ・ケア連合学会のダイバシティ推進委員会に所属しています。委員になったばかりの頃は、会議のなかで女性・男性という言葉が飛び交い、Xジェンダーの私には居場所がないと感じることが多々ありました。しかし、所属している3~4年間で、委員のなかに多様なSOGIに関する意識が育ち、女性・男性の二項対立で語られることが劇的に少なくなっていくのを目の当たりにしました。議論が深まっていく様子から、多様なSOGIの人びとが過ごしやすい組織づくりをしていくことは、「LGBTの人びとのため」ではないと実感しました。
 では民医連はどうでしょうか。現在の全日本民医連の理事87人中女性は26人(29.9%)、四役30人中では5人(16.7%)とのことです。みなさんの組織についても、ぜひ調べてみてください。
 最後に日本全体を見てみましょう。世界経済フォーラムが2022年に発表したジェンダーギャップ指数(0が完全不平等、1が完全平等)によると、日本は教育分野では指数1.000で146カ国中1位なのに対し、政治分野では指数0.061で139位でした。このような日本だからこそ、私は女性・男性の二項対立とは異なる多様なSOGIという斜めの角度から言葉を発信し続けることで、ジェンダーに公平な社会づくりをしていきたいと考えています。(この原稿では、あえて「男女」とは表現しないでみましたが、みなさんは気づいたでしょうか?)


よしだえりこ:神奈川・川崎協同病院の医師。1979年生まれ。LGBTの当事者として、医療・福祉の現場で啓発活動をしている。

(民医連新聞 第1771号 2022年11月7日)