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民医連新聞

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憲法カフェ ぷち⑭ 戦前回帰な自民党改憲草案④

 3回にわたって自民党の改憲草案(2012年)の特徴をお話ししてきましたが、根本的なところで自民党改憲草案は「個人の尊重」という日本国憲法の根源的な理念を否定しています。具体的には、13条「すべて国民は、個人として尊重される」が、「全て国民は、人として尊重される」と変えられています。これは、この国に生きる誰もが「自分らしさ」を持つかけがえのない存在としてリスペクトされるのではなく、日本に生きる人として認められるにとどまります。つまり個々人の自分らしさは価値を持たず、一人ひとりが自分らしく自由に生きることは特段尊重の対象にならない、ということです。
 さらに改憲草案12条は「常に公益及び公の秩序に反してはならない」としています。13条、21条でも同様のフレーズがくり返され、この社会でもっとも大事なものは人権保障ではなく「公益」と「秩序」であることを宣言しています。なにが公益に反し、なにが秩序を乱すか? 抽象的すぎてわかりませんよね。結局それを判断し、取り締まるのは行政や警察、つまり国家権力です。改憲草案は、人権保障そのものを否定し、自由にものを考え、生きる市民に敵意を向ける世界観に包まれています。(明日の自由を守る若手弁護士の会)

(民医連新聞 第1770号 2022年10月17日)