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民医連新聞

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副作用モニター情報〈583〉 ST合剤と血糖降下剤の併用で低血糖

症例)
 
糖尿病、心不全治療中の80代前半男性。
 DPP-4阻害剤による水泡性類天疱瘡(ほうそう)に対し、プレドニゾロン10mg/日で治療を開始、血糖降下剤をスルホニルウレア系血糖降下剤(SU剤)グリメピリド錠1mg2T/分2(朝昼食後)に変更して治療を継続していたが、尿路感染を発症、ST合剤(バクタ配合錠®)4T/分2を開始。ST合剤服用開始6日目の朝に低血糖を確認、夕にグリメピリド中止の指示。7日目の早朝1時の血糖値は38mg/dL(表外)。7日目夕からST合剤中止となった。中止後も低血糖が遷延した。

* * *

 ST合剤に配合されているスルファメトキサゾールとSU剤は化学構造上で共通の骨格をもっており、併用時は相互に作用を増強してしまうことで有名です。
 この症例は、どのような時間経過や条件で低血糖に至ったのかが読み取れます。スルファメトキサゾールの血中半減期は健康成人で11.3時間ですが、加齢による腎機能低下で血中半減期が12時間を超えたのに1日2回服用で開始したため徐々に蓄積、結果、数日後に副作用が発現、中止後も薬が抜けにくいため低血糖が遷延した、という説明が可能です。
 もちろん、両薬剤併用で相互作用を起こすことに服用開始前に気がつけばよかったのですが、ST合剤の服用期間が3日なら回避できたかもしれません(※)。
 ST合剤は他の薬剤が使えないケースに限り使用する、という添付文書の注意書きをしっかり意識し、処方時点で副作用や相互作用の危険を見落とさないようにしましょう。

※全日本民医連ホームページ掲載【薬の副作用から見える医療課題】45も併せてお読みください。
(全日本民医連医薬品評価作業委員会)

(民医連新聞 第1770号 2022年10月17日)

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