憲法カフェ ぷち⑬ 戦前回帰な自民党改憲草案③
自民党も日本維新の会も、自衛隊違憲論をなくすことを目的に、「今と何も変わらない」として、自衛隊を憲法に明記することを提案しています。この「何も変わらない」が真っ赤なウソであることは、第3回でお話ししたとおりです。
そもそも、自民党が実現したいのは、自衛隊の明記ではなく、国防軍の創設です。自民党が野党時代につくった改憲草案(2012年)では、「我が国の平和と独立」や「国」の「安全」などを守るために「国防軍」が規定され、「公の秩序の維持」を任務とし、「国民と協力して」「資源」を確保することが国の義務とされています。つまり、国防軍は、「資源の確保」を理由に海外で活動することもできるし、国民に協力を求めることもできるし、「公の秩序の維持」を理由に国民の自由への侵害(メディア規制、表現規制、行動制限など)もできるのです。
さらには、軍事秘密をもらした者を処罰できるルールをつくり、軍事規律に反した者を処罰できる裁判制度まで設けることになっています。戦争に国民全体が協力させられた戦時の日本みたい…。自衛隊の明記は、国防軍創設や戦争に向けた諸制度づくりの、ワンステップとみることもできるでしょう。(明日の自由を守る若手弁護士の会)
(民医連新聞 第1769号 2022年10月3日)