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民医連新聞

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副作用モニター情報〈582〉 オンジェンティスによる幻覚

 オピカポン(商品名:オンジェンティス)は、2020年8月に薬価収載された第三世代のカテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害薬で、末梢(まっしょう)選択的に高いCOMT阻害作用を示します。レボドパの代謝経路であるCOMTの活性を抑制し、レボドパの効果持続時間を延長します。オピカポンは、プラセボと比較して、レボドパのバイオアベイラビリティ(生物学的利用能)を最大65%まで増加させ、wearing-offを呈するパーキンソン病患者のOFF時間を短縮します。また、従来のCOMT阻害薬は1日複数回の服用が必要でしたが、オピカポンは1日1回投与でも効果が持続すると期待されています。そのオピカポンの副作用を紹介します。

症例)70代女性
 パーキンソン病による震えやふらつきあり。マドパーを服用中であったが、オンジェンティス25mgを追加処方。
 投与開始3日後より幻覚の症状が出現。「誰もいないのに誰かが見える」ようで、それに対し興奮する様子がみられた。投与開始14日後、幻覚の経過を判断し、オンジェンティスは中止となり、クエチアピン錠25mgが投与開始となった。中止後、数日で幻覚の症状はなくなった。

* * *

 オピカポンによる幻覚の副作用は、添付文書にも記載され、その頻度は4.4%となっています。ドパミンアゴニスト製剤の幻覚の副作用頻度と比較すると低めではありますが、比較的起こりやすい有害事象と言えます。幻覚の発生機序は不明な点が多いですが、オピカポン服用によりドパミンの血中濃度が上昇し、ドパミンによる幻覚を助長すると考えられます。ドパミンが黒質線条体系ドパミン作動性神経を刺激することで、パーキンソン病の運動症状改善を促す際に、精神機能を調節する中脳辺縁系ドパミン作動性神経も刺激してしまうのでは、と思われます。
 このような幻覚の副作用が発生した場合は、患者の状態を観察しながら、レボドパ含有製剤あるいは抗パーキンソン病薬の減量を考慮する必要があります。それでもコントロールが困難な場合は、オピカポンの中止などの処置を行い、副作用の軽減を行います。
 患者の病態にもよりますが、他のパーキンソン病治療薬への切り替えも選択肢の一つです。
(全日本民医連医薬品評価作業委員会)

(民医連新聞 第1769号 2022年10月3日)

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