診察室から “院長道”の歩き方
昨年4月に院長となり、未熟ながら無我夢中ですすんだ1年半の“院長道”をふり返って、今抱いている思いをのべます。私は医師になるまで「~長」と名のつく役割を担った記憶がありません。中学時代、「生徒会長に立候補したら?」と友達に勧められた際、人見知りで引っ込み思案だった私は、「人前に出るなんてとんでもない」とかたくなに拒みました。当時は積極的に意見をのべたり、場を仕切るタイプでもなかったので、図体がデカい以外は特に目立たない学生時代を過ごしました。
そんな私を取り巻く状況が、医師免許を手にした途端に一変。1年目だろうがお構いなく医師として指示を求められ、チーム医療の先頭に立つべき場面は少なくありませんでした。3年目には研修先の東葛病院で病棟医長を担い、研修を終え当院に戻ると医局長・医学生委員長・病棟医長がトリプルで引き継がれ、さらに副院長・研修委員長・医師委員長などの役職がてんこ盛りでついてきました。
医師、そして「~長」としてさまざまな経験を重ねていき、医師としての責任感や使命感、さらにリーダーとしての自覚が芽生え、「自分がやらねば!」と自分から手上げして院長を拝命しました。
院長になってもっとも変わったのは、自ら決断する場面が増えたことです。来年4月導入に向けて準備中の電子カルテや新型コロナウイルス感染対策など、病院運営にかかわるさまざまなことを決断しないといけません。ですが、独りよがりにならないよう、周りの意見をできるだけ取り入れて決定するように心掛けています。
「すすむべき道筋がはっきり見えているわけでなく、自分の前には誰もいない」。“院長道”に対する私のイメージです。ですが、決して孤独ではありません。横に目を向ければ副院長や総看護師長、事務長など管理部の面々が、後ろには多くのスタッフが私たちを頼り付いてきます。次の院長にバトンを繋ぐその日まで、自分と周りを信じて“院長道”を着実に歩み続けていきたいと思います。(菊地修司、茨城・城南病院)
(民医連新聞 第1769号 2022年10月3日)
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