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民医連新聞

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にじのかけはし 第12回 結婚の自由をすべての人に訴訟(2) 文:吉田絵理子

 札幌地裁判決の後、今年6月の大阪地裁では「同性婚ができないことは合憲」との判決が出ました。判決文には、「同性カップルと異性カップルの享受し得る利益の差異は相当程度解消ないし緩和されつつある」と書かれていました。前回書いたように、私とパートナーには法的な保障は何もなく、いざという時のために備えるには、時間とお金がかかるさまざまな手続きを踏む必要があり、利益の差異が緩和されたとはまったく感じていません。では、何をもって、このような判決文が書かれたのでしょうか。推測ですが、地方自治体によるパートナーシップ制度のひろがりが、背景にあったのかもしれません。
 2015年に東京都渋谷区、世田谷区が戸籍上同性のカップルに対し、自治体として証明書を発行する制度を開始しました。この制度は急速にひろがり、2022年7月1日時点で全国223自治体が導入しており、人口の半分以上をカバーしています。最近では、パートナーと育てている子どもも含めて宣誓を行う、ファミリーシップ制度を導入する自治体も増えてきました。自治体が同性パートナーや子どもに関して証明書を発行するというのは、非常に重要な動きではありますが、残念ながら法的な効力はなく、法律上の婚姻とは大きく異なります。
 民主主義国家では多数派の意見が通りやすいため、“マイノリティー”と呼ばれる人たちの声を拾い上げて政治に生かし、権利を守ることが重要とも言われています。訴訟のこれからを、私は一当事者として緊張しながら見守っていきます。
 今年11月には、東京都全体でパートナーシップ宣誓制度が開始されるため、私もパートナーと申し込む予定です。そこで川崎医療生活協同組合に、パートナーシップ宣誓を取得後に結婚休暇を取りたいと申し出てみたところ、前例がないので検討が必要とのことでした。「無差別・平等」を理念に掲げる民医連に所属する当法人が、患者だけではなく職員に対しても真に無差別・平等であることをめざし、変わり続けることのできる組織であることを信じつつ、結論を待っています。もしみなさんの法人で、すでに福利厚生で何らかのとりくみをされているところがあれば、ぜひ教えてください。


よしだえりこ:神奈川・川崎協同病院の医師。1979年生まれ。LGBTの当事者として、医療・福祉の現場で啓発活動をしている。

(民医連新聞 第1768号 2022年9月19日)