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民医連新聞

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憲法カフェ ぷち⑨ 民主主義と相容れない国葬

 政府が、安倍元首相の「国葬」を今秋実施すると表明し、批判が高まっています。そもそも「国葬」は、民主主義や人権と相容れません。誰の死をどのように悼むかは、きわめて個人的な心情にかかわるもので、個々人の自由に委ねられるものです。巨額の国家予算(税金)を投じて特定の人物の国葬を実施することは、たとえ明確に国民に対して追悼を命令しなくても「弔意を表した方がいい」という強い同調圧力を生み、事実上の弔意の強制となります。それはその人物への称賛の強制にもなり得、個人の心情や宗教観に足を踏み入れることになります。
 また、岸田首相は国葬の目的について「暴力に屈せず、民主主義を断固として守り抜く決意を示す」とのべましたが、安倍元首相の殺害はもっぱら私怨(しえん)によるもので、民主主義への攻撃と言えるか疑問です。また、安倍元首相は民主主義を発展させるどころか、むしろ空洞化させました。特定秘密保護法や安保法制など、憲法を蹴破る悪法の強行採決をくり返し、森友・加計問題、桜を見る会問題では、「権力の私物化」とも言える振る舞いが暴露されました。国会では118回もの虚偽答弁を積み重ねました。どのみち、国葬にふさわしい人物とは思えません。(明日の自由を守る若手弁護士の会)

(民医連新聞 第1765号 2022年8月1日)