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民医連新聞

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副作用モニター情報〈576〉 ジンマート錠(OTC薬)によるアナフィラキシー

 抗ヒスタミン剤だからといって、過敏症を起こさないわけではありません。

症例)
40代女性。併用薬なし。
1日目:朝、右腕に蜂と思われる虫刺され1カ所、倦怠感あり。朝食前に全身にじん麻疹がひろがっていた。13時頃ジンマート錠R(メキタジン2mg、他3成分)を内服。19時頃、全身にじん麻疹と呼吸苦出現。20時頃に38度台の発熱あり受診。ジンマート錠2回目を服用したかは不明。アナフィラキシーの診断で、クロルフェニラミン注5mg、ヒドロコルチゾン注300mg、エピネフリン0.3mg筋注にて治療。血圧97/77。
2日目:まだ浮腫性紅斑が残存、午後に咽頭の違和感出現。プレドニゾロン30mg/日、オロパタジン錠20mg/日で入院治療開始。血圧141/85。
4日目:じん麻疹は一部改善したが、新たな出現を確認。呼吸困難感も出現。エピネフリン0.3mg筋注。血圧95/80。
7日目:じん麻疹消失。9日目からプレドニゾロン減量となり、17日目治療終了。血圧147/92。
 後日、DLSTを実施、ジンマート錠で擬陽性、ゼスラン錠でDLST陽性。特異的IgE抗体測定では、蛾とゴキブリで陽性、ミツバチ、アシナガバチ、スズメバチで陰性。

* * *

 被疑薬とされたメキタジンは、β相の血中半減期が3mgの服用で32.7時間なので、1回の服用で4日間も症状が続いたのでしょう。接触皮膚炎診療ガイドライン2020の「湿疹型薬疹の原因薬として報告されている医薬品」には、メキタジンが載っています。
 当モニターに寄せられた報告には、抗ヒスタミン剤でDLST陽性が確認された症例は、オロパタジンで1例ありました。また、クロルフェニラミンも含む4剤を服用し、他の3剤でDLSTを測定したものの陰性だった症例ではクロルフェニラミンが原因だった可能性も排除できません。
 過敏症治療に用いられる抗ヒスタミン剤なら過敏症はない、という先入観にとらわれないように気をつけましょう。
(全日本民医連医薬品評価作業委員会)

(民医連新聞 第1763号 2022年7月4日)

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