もうすぐ参議院選挙 憲法を守り生かす政治に
6月22日公示、7月10日投開票で参議院選挙が行われます。政府・与党や一部野党からは改憲や「敵基地攻撃(反撃)能力」保有、さらに核共有まで叫ばれています。「改憲勢力3分の2をかならず阻止する選挙にするために、選挙に行こう!」と、民医連の若手職員に参議院選挙へ向けた思いを聞きました。(編集部)
投票権ない人たちの願いもこめて
「『どうせ変わらないから、選挙なんて行ってもしょうがない』という人もいます。でもそれは自分がどういう国を望むのか、意思すら示さないということ。私は『あきらめないで。大切な権利を放棄しないで。各政党の政策をしっかり見て考えて、投票でまず意思表示をしよう』と呼びかけています」。
そう話すのは、兵庫・東神戸医療互助組合の相野早紀さん(事務)。所属する神戸健康共和会の若手職員有志による「平和アクションプラン推進チーム」で「核兵器禁止条約を批准する政府を!」と、署名活動などにとりくんできました。活動を知った母校の教授に請われ、選挙のたびに後輩の大学生たちにも語りかけています。
相野さんが平和活動をはじめたきっかけは、入職した年に参加した原水爆禁止2019年世界大会in長崎。分科会で戦跡をめぐり、被爆者の話から、当時、外国籍の人も大勢被爆して亡くなっていたことを知り、衝撃を受けました。
ともに暮らす祖母と母、叔母が韓国籍。祖母からは、戦中、戦後、差別されてきたことを聞いて育ちました。生まれも育ちも日本でありながら、外国籍を理由に選挙権がない母からは、「選挙権をもったら、かならず選挙に行きなさい」と言われてきました。「だから私は、母たちのように声を届けられない人の分も、選挙には欠かさず行きます」。
6月28日には推進チームで新入職員向けに「憲法カフェ」を開き、「選挙へ行こう」と呼びかける予定です。春には新入職員研修を経て、推進チームに1人、新メンバーが加わりました。
「神戸健康共和会に入職して、9条があるからこそ日常が守られている、だから9条を変えてはいけないと知った。もっと国民のことを考える政治に変えなければならない。私は、日本国憲法を生かす候補者に、1票を投じます」。
口腔内から見える格差 25条の大切さも実感
福岡・佐賀民医連は「憲法改悪を許さない全国署名」をすすめる「Kenpou-Keeper」を職員から募集。4万筆を目標にしています。
福岡・米の山病院歯科の泉まこさん(歯科衛生士)もその1人。入職5年目です。
入職まで「自分の見える世界が問題なく、生活できていれば、それでいい」と考えていたと打ち明ける泉さんですが、入職後の研修や日常診療を通じて「口腔内の健康から格差などの問題を考えるようになった」とふり返ります。最近も、コロナ禍で収入が安定しない母とその娘が紹介されて受診しました。2人とも重度の虫歯で、経済的困難が受診を阻んでいた事例でした。
平和活動にとりくむきっかけは3・1ビキニデー。戦争が終わった後も、水爆実験で被ばくした人が多数いると知り、驚きました。
「改憲の議論についてどう思うか?」との問いに、泉さんは、日本が戦争に巻き込まれる危険とともに「憲法が変わらなかったことで、救われてきた患者さんもいると思う」と、社会保障制度の基礎になっている憲法25条(生存権)の大切さも強調します。
子どもたちのためのにも平和な社会を
米の山病院の今村清さん(作業療法士)も「Keeper」に登録。入職1年目から法人(親仁会)の平和アクションプラン委員をつとめ、戦時中、特攻隊の基地でパイロット養成学校もあった飛行場の跡地に建つ「大刀洗平和記念館」(福岡県筑前町)を見学したり、病院のある大牟田市内の空襲あとをめぐるなどして、平和の大切さについて学び、考えてきました。
ロシアのウクライナ侵略を機に改憲の議論がさかんになっていることについては「力を持って自分たちを守るという気持ちもわかる。でもウクライナは軍隊を持っていたのに攻め込まれた。(国家間の問題は)話し合いで解決する必要がある」と今村さん。参議院選挙の投票先の基準も「核兵器や9条の問題について、しっかり考えているかどうか。いろんなところの意見を聞いて決めたい」。
入職10年目の今村さんには、まだ1歳の子どもがいます。「子どもたちのためにも人が軽々しく殺されたり、殺したりする社会ではなく、平和な社会をつくってバトンタッチしたい」と語りました。
(民医連新聞 第1762号 2022年6月20日)