口腔保健まもる制度改善を 『歯科酷書―第4弾―』会見
全日本民医連歯科部は6月2日、厚生労働記者会で『歯科酷書―第4弾―』を発表しました。
はじめに、歯科部部長で全日本民医連副会長の岩下明夫さん(歯科医師)が国内と世界の歯科医療情勢を報告しました。日本では経済的な理由で必要な時に歯科にかかれない世帯が推計160万世帯にのぼる上、コロナ禍で歯科受診控えがひろがり、歯科医療機関も経営難に陥っていると指摘。昨年5月には、世界保健機関第74回世界保健総会が「口腔保健」決議を出し、虫歯などの高い有病率の背景に、健康格差と高額な医療費負担があることをあげていることなどを紹介しました。
続いて、榊原啓太さん(歯科医師)が『歯科酷書―第4弾―』の概要を報告(詳細は6月6日号)。『歯科酷書』を通して、以下4点を国や行政に求めると訴えました。①「全世代型社会保障制度改革」の推進を即刻中止し、国民一人ひとりの人権が守られる豊かな社会保障制度を実施すること、②国の責任を明確にし、高すぎる健康保険料を引き下げ、窓口負担を軽減すること、③国保法第44条の減免制度を実効性のある制度にすること、④無料低額診療事業への国や行政の支援をひろげ実施事業所を増やすこと、です。
広島民医連事務局次長の升岡涼子さんは、今回の『歯科酷書』に掲載した2事例の詳細を報告しました。20代男性患者の「まさか自分が経済的に困難な状況になるとは」との声は、誰もが同じような状況に陥る可能性を示唆。歯磨き習慣のない母娘に治療と歯磨き指導を続け、改善して娘の表情が明るくなったことも紹介し、「健康で文化的な人生を歩めるように、必要な支援につなぐ周囲の気づき、多方面からサポートする仕組みが必要」と訴えました。
(民医連新聞 第1762号 2022年6月20日)