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民医連新聞

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生活保護費引き下げ違法 取り消す判決 熊本地裁

 5月25日、熊本地裁は、生活保護費が2013年から段階的に引き下げられたことについて、熊本県の生活保護受給者が最低限度の生活を保障した憲法に違反するなどと訴えた生活保護基準引き下げ訴訟で、厚生労働省の判断の過程や手続きに誤りがあり、引き下げは違法だと判断し、取り消す原告全面勝訴の判決を出しました。
 全国29の裁判所で、1000人近い原告がたたかっている同様の集団訴訟の判決は今回が10件目で、原告の訴えを認め、引き下げを取り消したのは去年2月の大阪地裁に続き2件目。国は、生活保護費のうち、食費などの生活費部分の基準額を、一般の低所得世帯の支出水準や物価の下落を反映する方法で、13年から15年にかけて最大で10%引き下げました。
 本判決は、大阪地裁と同様「デフレ調整に対して統計上の客観的な数値などとの合理的関連性や専門的知見との整合性を欠く」としたのに加え、ゆがみ調整も「厚生労働省の判断の過程や手続きは客観的数値との関連性や専門家の知見などとの整合性を欠いている点で誤りがあり、裁量権を逸脱・乱用」と判断し、取り消しました。
 弁護団事務局長の阿部広美さんは「受給世帯の生活実態にもとづいた正当で一歩踏み込んだ判断が出された」と判決を評価。「長い間たたかってきた原告の努力が報われた重い判断なので、早く判決を確定させたい」とのべました。
 全日本民医連は、「今回の熊本地裁の判決の支持するととともに、国に対して控訴を断念し、速やかに保護基準をもとに戻すことを強くもとめる」と会長声明を出しました。

(民医連新聞 第1761号 2022年6月6日)